将来の料金変動を見越した委託契約書の工夫2つ

委託料金の記載が「都度見積」は合法か? の続編となります。

委託料金が「都度見積」では何も決めていないのと同様の無意味な契約書となりますが、
その反面、基本契約締結時には将来の料金変動をすべて想定した内容で契約をするのも困難という事情があります。

今回は、実務的に将来の条件変動に対応するための方法を解説します。

その方法は主に2つあります。

詳細は覚書で決定

定期的に料金などが変動することが確実な場合は、覚書によってその変更事項を確定させ、基本契約書を補完するものとして運用することが可能です。

たとえば、中間処理の委託料金がリサイクル後の製品の売価によって変動する場合は、
基本契約書の委託料金欄には「○月ごとに覚書によって決定」と記載しておき、委託料金を覚書によって定期的に合意し、基本契約書と覚書を一緒に保存します。

そうすることで、法定記載事項である委託料金を定期的に変動させる契約書の運用が可能となります。

燃油サーチャージ制等の導入

収集運搬業務の場合、コストを
車両の減価償却費、作業費、人件費 等の固定費の他
燃油代 等の変動費に分けることができます。

このうち、固定費を削減することも企業努力として必要なのは事実ですが、現実的には一定の限界があります。

そのため、増加する(あるいは減少する)変動費の変動幅を一定範囲内に抑えるため、運輸業界では、燃油代の高騰が起こった場合に備えて「燃油サーチャージ制」を導入する動きが出ています。

既に飛行機においては、燃油サーチャージ制が一般的となっていますが、トラック運送業界においてはまだ一般的とまでは言えません。

しかしながら、国交省やトラックの業団体などが精力的に燃油サーチャージ制の導入を呼びかけていますので、徐々に契約条件として一般化しそうな可能性があります。

廃棄物処理業界では、運輸業界ほど熾烈なコスト削減要求は起こっていませんが、一昔前と比べると処理料金自体が低減していますので、いずれは同じ対応が必要になると思われます。

特に、原油価格はあらゆる業務のコストに影響を及ぼす要因ですので、廃棄物処理業界は今のうちに関心を持って研究を進めておくべきですね。

もちろん、委託者にとっても、コスト管理を徹底している(=信頼性の高い)処理業者を選ぶことは非常に有効な防衛策となりますので、処理業界と同様に関心を持つべきだと思います。

燃油サーチャージ制などを契約書に盛り込んでおけば、軽油価格が高騰した場合には、あらかじめ契約書で定めたサーチャージ事項に基づき料金を請求するだけとなりますので、円滑な取引の継続が可能となります。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ