着工時に気づいても後の祭・・・

自治体が売った、あるいは買った土地から、工事着工に伴い廃棄物が出土するケースが増えています。

今回ご紹介するのは、岩手県奥州市が購入した土地から廃棄物が出土したというニュースです。

201年11月19日 岩手日報 学校予定地、地中に廃棄物 奥州・胆沢区、撤去急ぐ

 奥州市教委は18日、市議会全員協議会で、2017年度の開校を予定する同市胆沢区南都田(なつた)の統合中学校建設予定地に、タイヤやコンクリート管などの廃棄物が埋められていたと報告した。土地はかつて、建設会社の資材置き場だった。土壌汚染の有無や、廃棄物が埋まっている範囲と量は調査中。工期に影響が出ないよう撤去作業を急ぎ、費用の算定や請求は弁護士らと相談し進める。

 市教委によると、造成工事の業者から10月下旬に連絡があり、判明した。校舎やプールの建設予定地約5500平方メートルを10カ所掘削したところ、2・5~0・5メートルの深さからタイヤやコンクリート管、石こうボードなどが出てきた。土地は約30年前に水田を埋め立て、建設会社が資材置き場に使っていたという。建設会社は09年倒産。市教委は学校用地選定協議やボーリング調査などを経て13年に取得した。

 冬期間は建設工事を予定しておらず、市教委は来春までに廃棄物の撤去を急ぐ。撤去費用の請求は市の顧問弁護士らに相談し進めるが、土地所有者の建設会社は倒産しており、難しい見通しだ。

奥州市が土地を売買で購入したのか、それとも土地の差押え、あるいは競売で取得したのかはよくわかりませんが、事前にボーリング調査をしていたものの、その調査部分以外で埋まっていた廃棄物が出土したようです。

元の土地所有者が現在も存在し、売買契約において「この土地に埋設物は無い」と保証をしていたならば、損害賠償も比較的容易になりますが、
今回のケースでは、前土地所有者であった建設会社が既に倒産しているとのことですので、損害賠償請求を行う先が無いということになりそうです。

土地を購入する前に2mメッシュのボーリング調査を行えるのであれば、こうした埋設物の不意な出土のリスクをかなり減らすことができますが、現実問題としてボーリング調査のコストが巨額になるため、それは非常に困難です。

土中の埋設物の有無を調べる方法としては、ボーリング調査の他にも「電気探査」や「電磁探査」他がありますが、それぞれ調査精度や調査できる深さなどの違いがあるため、「この調査だけしていれば完璧」という手法はないようです。

廃棄物以外にも土壌汚染の有無が後々問題となるケースが非常に増えていますので、今後ますます、売り手と買い手の双方が土地取引のリスクに慎重にならざるを得ませんね。

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