不起訴になるかは運次第?

2014年10月末に委託基準違反容疑で書類送検されるも、2015年3月に、アイダ設計の不起訴処分が決定していたそうです。

※関連記事
当ブログ 2014年10月24日付 「アイダ設計の委託基準違反事件

2015年5月19日付 ハーバー・ビジネス・オンライン 「産廃処理法違反は不起訴に。低価格住宅のアイダ設計社長、社内改革を語る

 同社は、昨年10月に住宅解体工事に伴う産業廃棄物の処分を無許可業者に委託したということで、執行役員ら男性社員3人が廃棄物処理法違反(委託基準違反)の疑いで書類送検された。しかし、その後3月に不起訴処分が決定していたことを知る人は少ない。

 一部では「安い住宅が売りだから、無許可業者に依頼することなどで経費節減している」というような報道も見られた中、果たして本当はどうだったのか。

 アイダ設計代表取締役社長、會田貞光氏を直撃した。

「不法投棄の件は、当社が悪かった点はもちろんあります。警察でもお話しましたが、2010年の12月から、問題となった産廃処理業者と取り引きを始めたんですが、取り引き開始時は彼らも免許を持っており、マニフェストも確認していました。その後、料金の関係などもあり、その業者への発注はなかったんですが、その間に免許が失効していたらしいんです。それで、再びその業者に依頼した時、新しい担当者が再確認するのを怠ってしまった。その後、2年間も確認しないまま発注を続けていましたから、もううちのミスとしても酷いものです。その業者がさらに孫請けに再委託していましたが、この点も元請けである当社に責任があるのにちゃんと監督できていませんでした」

社長の率直な告白には、実務的に注意しないといけない問題点が浮かび上がっています。

取引中断後に再契約する際の注意点

新たに取引を行うことになった処理業者については、許可証の写しの提示をしてもらい、委託する産業廃棄物に関して、無許可業者ではないことの証明をしてもらう必要があります。

多くの排出企業は、委託基準の一環として、この確認作業を励行しているものと思いますが、
アイダ設計事件で顕在化したように、取引中断後に再契約をする際には、「過去に取引をしていた際に許可証の写しを添付してくれていたので、現在もそのまま許可業者であろう」という思い込みで、新規取引の際には気を付けて行っている「許可内容の確認」がおざなりとなる可能性があります。

もちろん、再契約の場合も、新規取引と同様に、その時点で許可業者であることを証明するための「許可証の写し」の契約書への添付が必須なのですが、「過去の取引では問題なかったから大丈夫だろう」という思い込みがあると、添付書類の細かなチェックが抜け落ちやすくなります。

そうならないための対策は一つ。

契約書の「法定記載事項」と、「添付が必要な書面のリスト」に関するチェックシートを用意し、例外を作ることなく、すべての産業廃棄物処理委託契約書作成の際に、そのチェックシートに基づきチェックを行うようにするしかありません。

「例外や特例を作らない」というところがポイントになります。

同様のケースで常に不起訴になるとは限らない

今回の事件は、結果としては不起訴になりましたが、紛れもない委託基準違反です。

個別の事件ごとに委託基準違反が起こった背景は異なりますが、他の委託基準違反事件では、排出事業者の担当者個人が有罪となったケースが多々あります。

くれぐれも、
「不法投棄を直接指示していない限り、委託者の法的責任が問われることはないのだな」という、危険な思い込みをされないようにお願いします。

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