大胆な無許可営業

無許可で安く廃棄物処理を請負い、1年以上野外焼却を続けるという、今時珍しい無許可営業事件が起こりました。

2015年11月26日付 テレビ朝日 「“無許可”で産廃処理 正規の半額で…業者の男逮捕
※容器者の氏名は改変

 神奈川県綾瀬市で、無許可でプラスチック片などの廃棄物を会社の敷地まで運んで焼却処分していたとして、金属くず収集業者の68歳の男が逮捕されました。

M容疑者は、去年6月から今年7月までの間、県や市から許可を得ずに18回にわたってプラスチック片などの廃棄物を会社の敷地まで車で運んでドラム缶などで焼却処分した疑いが持たれています。警察によりますと、M容疑者は正規のルートでの処分費用の半額程度で廃棄物を請け負い、収入を得ていました。M容疑者は以前は廃棄物を運ぶための許可を得ていましたが、去年5月に失効したまま更新していませんでした。取り調べに対し、M容疑者は容疑を認めています。

  • 無許可業者が正規ルートよりも安くなるのは当たり前です。彼らには業許可という失う物が何もないため、安値で無知な排出事業者から廃棄物処理を請け負うしかないからです。
  • 逆に言うと、「不法投棄」や「野外焼却」を行う者には、「違法行為を行う動機がある」ということです。
  • 最終処分場を自社グループ内に有し、従業員数が数百名を超える処理業者の場合、「違法行為により得られる経済的なメリット」と、「許可取消に伴う損失」を比較すると、言う間でもなく「許可取消に伴う損失」の方が遥かに大きくなります。
  • 処理業者の信頼性を考える上で、「違法行為を行う積極的な動機があるかどうか」を考えることは非常に重要です。無許可業者の場合は、メリットと比較すべき損失が無いわけですから、事業が違法行為に直結することがおわかりいただけると思います。
  • 1年程度の長期間、無許可営業と野外焼却が放置されていたことも問題です。煙が見えないように夜間に燃やしていたのかもしれませんが、警察官が野外焼却を現認していたのであれば、その場ですぐに逮捕しても良かったように思います。
  • また、その間神奈川県は無許可業者にどのような指導をしていたのかも気になります。
  • 「無許可業者への処理委託」であれば、排出事業者も、「5年以下の懲役または1千万円以下の罰金、もしくはこれの併科(廃棄物処理法第25条)」という非常に重い刑事罰の対象になります。ただし、今回の事件ではそもそも契約書やマニフェストが運用されていなかったと考えられますし、廃棄物を焼却処分している以上、証拠もない状態となり、排出事業者への責任追及は難しそうです。
  • 行為者、排出事業者、行政、警察のそれぞれの関わり方について釈然としない部分が残る、後味の悪い事件報道でした。

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