ヤメ検弁護士の暗躍か

新聞記事の執筆者同様非常に驚きましたが、被疑者が刑事処分されるかどうかは関心事ではないため、取り上げなかったニュースがあります。

それは、昨年末に明らかになった「大同特殊鋼の不起訴」です。

2017年1月25日付 毎日新聞 「群馬・有害スラグ 業者不起訴

 昨年末、環境行政の今後を左右するといっても過言ではない判断が下された。大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(群馬県渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、前橋地検が廃棄物処理法違反容疑で書類送検された同社や子会社など3社とその幹部ら5人を容疑不十分で不起訴処分とした。違法事業者を監督する全国の自治体は困惑している。前橋地検の判断は、監督に当たる職員の萎縮や悪質な業者の増長を生みかねず、今後に大きな禍根を残す可能性がある。

さすがに新聞記者さんだけあって、以前紹介したジャーナリスト氏とは異なり、実際に地方自治体の担当官に取材をされたようです。

しかしながら、地方自治体の実態からすると、「違法事業者を監督する全国の自治体は困惑している」のかどうかは疑問です。

「環境行政の今後を左右するといっても過言ではない」という表現も大袈裟すぎます。

今回の地検の不起訴によって、環境省が「行政処分の指針」の「総合判断基準」を変えてくるというのは、ほとんど考えられません。

誰もそこまでこの事件に期待していなかったからです(苦笑)。

 群馬のスラグ問題は、監督官庁である全国都道府県の担当者も固唾(かたず)をのんで見守っていた。結果を受け、複数の担当者は「何が駄目だったのか。地検の説明では大事なことが分からない」と戸惑いを隠さない。中国地方の担当者は「これまでグレーゾーンについては、廃棄物と判断するよう環境省から言われてきたが、今後はこうした指導が変わるのか」と声を落とした。

これもいささか、いやかなり煽情的な表現です。

固唾をのんで見守っていたのは、群馬県の職員くらいだと思います。

こんな些末なことで声を落とすほどのショックを受ける、線の細い行政官はほとんどいないと思われます。

理論武装の参考程度にすることはあっても、良くも悪くも、他の自治体での行政処分や起訴手続きの影響を受けることはほとんどありません。

もしも、このコメントのように不謹慎なことを言う行政官がいたとしたら、それは仕事をさぼる方便や言い訳として軽口を叩いているだけと考えた方が良さそうです。

現在の行政現場の実態からすると、かように現実離れした感想なので、本物の現役行政官に取材をしたのかどうか疑問に思いました。

被疑者が一部上場企業という点は珍しいケースでしたが、警察が丹念に取り調べた廃棄物処理法違反事件を、地検の段階で不起訴にするのはよくある話です。

いちいちそんなことで困惑していては、違法業者に対し、まともな指導監督などできません。

もう10年以上前の話になりますが、「無許可業者へ処理委託」していたことが判明した「医療法人徳洲会」が告発されたものの、不起訴になった事例もあります。

その後、医療廃棄物の適正処理に関して、行政が指導監督の際に委縮をしたという話を聞いたことがありませんので、「ノストラダムスの大予言」と同様に、この記事も杞憂に終わりそうです。

はたして、「地獄の沙汰も金次第」なのでしょうか!?

あ、もちろん、金次第というのは、刑事事件に強い弁護士を雇えるかどうかという意味です。

←筆者と同年代の方は、読みながら胸躍らせた(?)思い出のある本ですね。1999年が過ぎたのに、まだ売ってるんだ(笑)。

ノストラダムスの大予言 迫りくる1999年7の月人類滅亡の日

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