個人的か、それとも組織的犯行か

以前、茨城県内でゲリラ不法投棄が増えているという報道をご紹介しました。

2021年9月28日 「不法投棄の企図者

その際の不法投棄実行者なのかどうかはわかりませんが、北関東の広域で不法投棄を繰り返していた解体業の男性が逮捕されたそうです。

2021年10月20日付 NHK 「廃プラスチック不法投棄の罪で起訴 県北地域中心に約50件か

去年12月、大子町の道ばたや林道に廃プラスチックおよそ10トンを不法投棄したとして、宇都宮市の解体業の男が逮捕・起訴されました。
警察は、県北地域を中心に、ほかにもおよそ50件の不法投棄を繰り返していた疑いがあるとみて詳しく調べています。

逮捕・起訴されたのは宇都宮市の解体業、M(※筆者注 容疑者の氏名は略、以下同様)被告(54)です。
警察によりますと、去年12月、細かく砕かれた廃プラスチックおよそ10トンを大子町の道ばたや林道に捨てたとして廃棄物処理法違反の罪に問われています。
M被告は栃木県でプラスチックの廃材を不法投棄したとして、ことし2月、栃木県警に逮捕されていて、その後の調べで茨城県内でも同じような不法投棄をしていた疑いが強まったということです。
警察によりますと、調べに対し容疑を認め、「借金の返済があった」などと話しているということです。
県内では県北地域を中心におととし10月ごろから廃プラスチックなどが不法投棄されているのが相次いで見つかっていて、警察は投棄のしかたが似ていることなどから、M被告がおよそ50件の不法投棄を繰り返していた疑いがあるとみて詳しく調べています。

栃木県の解体業者が、栃木県内で不法投棄をした容疑で栃木県警に逮捕され、栃木県のみならず茨城県内でも約50件の不法投棄をしていた事が発覚したとのこと。

さらに、福島県内のスキー場跡地にも不法投棄をしていたそうです。
2021年10月20日付 福島中央テレビ 「西郷村スキー場跡地に不法投棄で男を逮捕

西郷村のスキー場跡地にコンクリート片などを不法投棄した疑いで、9月、栃木県の男が逮捕されていたことが分かった。
逮捕された宇都宮市の解体業=M容疑者(54歳)は去年10月、西郷村の白河高原スキー場跡地にコンクリート片など約25トンを不法投棄した疑い。
M容疑者は「借金があって廃棄物を処理するお金が無かった」などと容疑を認めていて、19日、起訴された。
同じ現場では有害物質を含むプラスチックごみの不法投棄で、県の行政代執行による撤去が実施されていて、警察が捜査を進めている。

栃木、茨城、福島と少なくとも3県で不法投棄をしていたことになります。

NHKの表現では、しきりに「廃プラスチック類」が挙げられており、「細かく砕かれた」ともありますので、「どこかの(アホな)中間処理業者が関与していたのか!?」と、心がザワつきました。

しかし、福島中央テレビのサイトに掲載されている画像を見ると、正規の中間処理業者が破砕をした形跡が見受けられなかったので、「アホな中間処理業者が関係していたわけではなさそう」と安堵いたしました。

※画像は、福島中央テレビの報道記事より転載

この画像を見る限り、家屋を重機で丸ごと壊したミンチ解体で発生した混合物のように見えます。

堆積物の大半が「土」のように見えるため、中間処理業者が「細かく」破砕をした後の残さが捨てられたとは思えないのです。

もっとも、中間処理業者が破砕をせずに、コンテナの中身をそのまま不法投棄に回した場合は、こうした惨状が発生する可能性はありますが、そのような自暴自棄の境地に一足飛びで達する処理業者は現実には存在しないと思われるので、私個人としては、「解体業者の単独犯説」を採用したいと思います。

さて、逮捕された解体業の男性は、「社長」としてではなく、「氏名」しか挙げられていませんので、法人ではなく、個人事業として解体業を営んでいたものと思われます。

そうなると、広域で不法投棄をしたということは、それだけ広域の現場で解体工事をしていたことになりますが、個人事業者がこれだけ広範囲で「元請」として強力な営業力を発揮していたとは考えられませんので、「下請」の立場で参画していたものと思われます。

あるいは、「あの解体業者に頼むと、安価で廃棄物を処理(実際は不法投棄)してくれる」という評判で、廃棄物処理法の規制に無頓着な元請から絶大な支持(?)を、二次や三次下請として受けていた可能性もあります。

いずれにせよ、これだけ大量の不法投棄が発生した反面、本来なら適正な処理料金を負担すべきであったところを不当に免れ、不正蓄財をした元請業者が必ず存在します。

栃木・茨城・福島の3行政及び3県警においては、排出事業者たる元請への強力な責任追及をしていただくことを期待しております。

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