ビールの搾りかすの活用事例2件

ビールの搾りかすの活用方法に関するニュースがたまたま続きましたので、両方とも一挙にご紹介いたします。

2022年5月10日付 NHK 「新潟 長岡の醸造メーカー ビールの搾りかすでクッキー開発

長岡市内の醸造メーカーがこのほど、ビールをつくる過程で発生する搾りかすを使ってクッキーをつくり、10日、完成を市長に報告しました。

クッキーをつくったのは長岡市に本社を置く醸造メーカー「ホクショク」で、10日、製品の完成を磯田市長に報告しました。
工場では、1か月あたりおよそ720キロの搾りかすが出ていて、およそ1割をクッキーの製造に利用しているということです。

(中略)

このメーカーでは、残りの搾りかすを長岡市内の牧場に乳牛のエサとして提供しているということですが、今後、さらに別の商品開発にも取り組みたいとしています。

ビールの醸造所から発生した「ビールの搾りかす」は、産業廃棄物の「動植物姓残さ」に該当しますが、元々は人間も食用可能な物ですので、産業廃棄物としてではなく、食べ物として再利用することが最善であることは間違いありません。

ただ、人間の食品として再加工する場合、消費期限の制約がありますので、在庫をドンドン積み増すわけにもいきません。

そのため、食品化以外の手法を併用しないと、ビールの搾りかすの再利用は進みにくいと思われますが、
報道では、「搾りかすの1割をクッキー、残りを牛の飼料として活用」とありますので、「食品化」と「家畜用飼料化」の併用が効いています。

ビール醸造所の近所に畜産農家がいるかどうかで、搾りかすの再利用率は大きく変わりそうです。

ビールの搾りかすは健康食品の原料にもできそうですので、まだまだ市場は広がる可能性がありますね。

次は、日本農業新聞の2022年5月11日付記事 「麦芽かす→エコ堆肥に 地ビールブームで急増 静岡・JAふじ伊豆三島函南地区本部

 全国で地ビール製造場が急増し、醸造過程で発生する麦芽の絞りかす(モルトかす)の処分が課題となっている。静岡県のJAふじ伊豆三島函南地区本部は、地元のビール醸造所と連携して、モルトかすを混ぜ込んだ堆肥作りに挑戦している。持続可能な開発目標(SDGs)の観点から産業廃棄物の有効活用を進めながら、高品質な作物を栽培するための土づくりに力を入れる。

 同地区では昨年7月、日本肥糧とモルトかす混合堆肥の効果を検証した。結果、通常の堆肥より発酵が著しく進み、土壌の団粒構造が増した。通気性や排水性が優れた土壌は作物の生育に適し、食味の向上も期待できる。

 同本部は5月、三島市の堆肥舎で同市のクラフトビール専門店・ティールズブリューイングが持ち込んだモルトかす200キロを、牛ふん堆肥約4トンに散布した。有用菌の活動を促し、栽培に悪影響をもたらす細菌の活動抑制効果を検証する。

ビールの搾りかすは堆肥化も有効なのですね。

人間と家畜が食用可能で、優秀な堆肥にもなり得るため、「適切な再利用先さえあれば、ビールの搾りかすはリサイクルの優等生」と言えます。

 ティールズブリューイング代表社員の秋田克彦さんは「ビール醸造所が急激に増え、多くがモルトかすの処分に困っている。農業が活発な地域で、このような取り組みができてうれしい」と話す。

課題は、食品化にせよ、堆肥化にせよ、「醸造所の近くにリサイクル品の需要家がいるかどうか」に尽きます。

 国税庁によると全国の地ビール製造場数(2020年度)は、5年前の2倍以上の405に増えている。

とのことですので、目端の利く人が音頭を取れば、ビールの搾りかすを再利用する用途や市場が一気に広がる可能性があります。

どなたかやってみませんか?(笑)

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