海上自衛隊のダメージコントロール力が試されている

2024年7月8日付 NHK「海に不法投棄で海自2人免職

海上自衛隊呉基地を母港とする潜水艦救難艦に所属する隊員3人が香川県小豆島付近の海域などで塗料の入った缶などを不法投棄したとして海上自衛隊は8日付けで、隊員2人を懲戒免職、隊員1人を停職1年の懲戒処分にしました。

海上自衛隊は呉基地を母港とする潜水艦救難艦「ちはや」に所属する50代の海曹長と30代の3等海曹を懲戒免職としたほか、20代の海士長を停職1年の懲戒処分にしました。

「また海上自衛隊(の隊員)が不法投棄したのか!」と思ってしまいましたが、報道の続きを見ると、

海上自衛隊によりますと、令和3年11月、香川県小豆島付近の海域などで海曹長の指示を受けて隊員2人が塗料やニスなどが入った缶など41点、あわせて167キロを2回に分けて海に投棄したということです。
3人はいずれも事実関係を認めているということです。

と、聞いたことのある話です。

当ブログでも、2022年3月3日付で、「個人的資質ではなく組織の問題かもしれない」として取り上げた、瀬戸内海での塗料缶不法投棄事件の続報でした。

たった1回の不法投棄で、公務員としては死刑宣告に等しい「懲戒免職」が科されたことには、海上自衛隊が「一罰百戒」の方針で綱紀粛正に臨んでいる様子がうかがえます。

国家公務員が懲戒免職されると、「退職金の全部または一部のカット」されることとなり、それまで真面目に積み上げてきた公務員としての実績の大部分が「無かったこと」になってしまいます。

これだけきついペナルティが科されるとなると、「気軽に不法投棄」される確率は非常に低くなりますので、起きてしまった危機の被害を最小限に抑える「ダメージコントロール」としては、ギリギリの及第点というところでしょうか。

「懲戒処分の決定までに2年間も掛かった」ことが大幅な減点ポイントです。

また、綱紀を粛正しただけでは、いずれそれが弛緩することは避けられませんので、「廃棄物の処分(委託)方法を簡便にする」等のシステマティックな改善も不可欠です。

旧大日本帝国軍の例を引くまでもなく、日本の組織は、伝統的に「精神論」に陥りがちですので、今回の事件を契機として、円滑、かつ効率的な廃棄物処分(委託)システムを構築していただくことを期待しています。

さて、今回取り上げた不法投棄事件は、海上自衛隊の「身から出た錆」でしかありませんが、最近
・設備メーカーにNintendo Switchを所望
・特定秘密の不適切な取扱いが発覚
・基地内の食堂で無銭飲食が発覚
等々、海上自衛隊関連の不祥事報道が続出しています。

個人的な妄想ですが、「どこかの国に握られていた恥ずかしい情報が、一挙に蔵出しされた」ようにも見えます。

根も葉もない与太話であれば対応する必要はありませんが、すべて事実であった以上、
・そもそもの話として、規律違反を起こさない
・機密にアクセスできる人間を厳選し、厳重に情報管理をする
・防諜活動をもっと高レベルで行う
等の対応が不可欠であると思います。

海上自衛隊のダメージコントロール力の真価が問われる事態となっていますので、危機を「改善の好機」へと転化できるような迅速な取り組みを期待します。

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