朝日新聞埼玉総局からの取材

6月7日の午後に、朝日新聞埼玉総局の記者の方から電話をいただき、DOWAハイテック社の不祥事に関する見解をお話ししました。

埼玉県が行政指導として決着させたことは、ひとつ前のブログ DOWAハイテック社の委託基準違反は行政指導で決着 で書いたとおりです。

しかし、朝日新聞からお送りいただいた埼玉版の紙面を拝見し、ネット版の記事には載せられていなかった重要なポイントを見つけましたので、下記に実際の紙面を画像データとして貼り付けます。

※朝日新聞埼玉版 2012年6月8日付朝刊より転載

朝日新聞のみの独自取材のようですが、記事の最後の部分に、DOWAハイテック社の前社長で、現在は顧問の渡辺氏のコメントが載っています。

渡辺顧問は、朝日新聞の取材に、「県から指摘されたHMTについては今後、廃液処理を委託する際、契約書に明記する」と明言した。
今回の指導を受け、処理を総点検し、管理体制を強化するという。

DOWAハイテック社憎しで連日この問題を取り上げているわけではありません(笑)。

しかし、毎日取り上げたくなるほど、今回の事件には反面教師としての教訓が非常に多く含まれています。

上記のたった2行のコメントに、「硬直化した組織の問題」と、「同種の事故がまた起こる可能性」の2つが内包されています。

まずは、

HMTについては今後、廃液処理を委託する際、契約書に明記する

契約書に書くことは非常に重要なのですが、元々の問題は、書くか書かないかという些末な問題ではなく、自社が廃棄する化学物質の危険性を認識していたはずなのに、それを安易に廃棄してしまうという想像力と責任感の欠如が、同社の根本的な問題です。

そこに手を付けず、単なる書面上の問題として認識してしまっていることは、実は危険な兆候です。

これは、DOWAハイテック社のみならず、その他の企業にとっても同じような状況なのではないでしょうか。

次は、

今回の指導を受け、処理を総点検し、管理体制を強化する

不用意に記者会見などでこのようなコメントをすると大変危険です。

それはなぜか?

今後管理体制を強化するということは、「今まで不徹底な管理を放置していたのか!」という反応を導くからです。

DOWAハイテック社の場合、9年前にも同じ事故を起こしていますので、「今から」強化するというと、これまで何も管理してこなかったのかということになります。

行政指導という結末といい、管理体制を強化するという紋切り型の受け答えといい
まことに「日本的な」問題解決の結末でした。

問題の本質に踏み込まない上っ面の形式的な幕引きは、
問題の先送りには役立ちますが、同種の問題の発生を防ぐことはできません。

当事者ではない我々が、今回の事件で学べることはたくさんあります。

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