最新情報

警察庁が「金属盗」対策の検討を開始

最近、山間地の太陽光発電施設から銅線ケーブル等を盗む窃盗団がニュースに登場する機会が増えました。

「窃盗」と名が付く以上、「銅線ケーブル」は「廃棄物」ではなく、「有価物」ですが、
「金属くず」は「専ら物」のカテゴリーに入り、市中で「有価物」と「専ら物」、あるいは「不用物である金属くず」を回収するスクラップ事業者については、廃棄物処理法の規制を受ける部分があります。

実際、つい先頃、環境省は「ヤード環境対策検討会(第1回)」を開催(2024年10月16日予定)を発表し、
当ブログ 2024年8月19日付記事 「廃棄物処理法改正の議論は2025年開始の模様」でご紹介したとおり、次の廃棄物処理法改正項目の一部として視界に入れた、論点の検討を始めつつあります。

しかしながら、廃棄物処理法で有価物となる金属くずの取引を規制することはできませんので、盗品売買を規制する法制度においても、金属盗を規制範囲に入れる必要があります。

警察庁は、環境省よりも少し早く動き出し、2024年9月30日に第1回の「金属盗対策に関する検討会」を立ち上げ、金属盗対策の検討に入りました。

上記の検討会で公開されている資料では、金属盗の実情が簡潔にまとめられており、「現状」を把握し、「有効な対策」を考える上で役立つものとなっていますので、以下いくつかの資料を転載いたします。

以下の画像はすべて「第1回検討会資料」の一部を転載したものです。

「金属盗」の認知件数については、関東地域が突出して多くなっています。

盗まれる金属の種類としては、「銅」だけで認知件数の過半数を占めています。

銅が狙われる背景としては、銅の買取価格が高値で安定していることが、もっとも大きな理由と考えられます。

また、金属類の買取においては、「重量あたりいくら」で買い取られることが普通であるため、比重が小さいアルミニウムよりも、ずっしりと重い銅の方が「運搬効率」と「買取金額」が上がります。

盗人にとって、「銅線ケーブル」は「金のなる木」であり、「元手無しで収奪できる宝物」に見えるに違いありません。

「金属くず」の流通経路をまとめた図

盗まれた金属の大部分は、「金属くず買取り・加工事業者」が買取をしているため、「金属くず買取り・加工事業者」に盗品を買い取らせないことが不可欠であることがわかります。

さすがは警察庁。現行の法規制状況をわかりやすくまとめてくれています。

個人的には、都道府県は「金属くず条例」を制定することが当たり前と思っていましたが、意外にも、条例を制定している自治体の方が少数派で、3分の2の都道府県は未制定とのことです。

「金属盗対策」ではありませんが、先述したとおり、廃棄物処理法においても、スクラップヤード規制の追加が目論まれているようです。

2026年頃から、
金属くず流通の「入口」と「出口」は警察庁(新法?)で、
「買取業者での保管」は環境省(廃棄物処理法)で、
と、これまで以上に厳しい法の網の目が掛けられることになりそうです。

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2024年10月16日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:2025年改正

コラボ事業を始めました

当ブログでは一切触れていませんでしたが、
本年(2024年)6月から、とある有望な行政書士の方と共同でブログ及びX(旧twitter)の運営を始めました。

毎週1問ずつ、廃棄物処理実務に関係するクイズをX(@haikibutsuquest)で出題し、解答と解説をブログ「廃棄物実務クエスト」にアップするという取組みです。

2人の共同運営であるため、「2週間に1回」という執筆ペースがちょうど良い塩梅です。

当ブログのように一人だけで更新し続けていると、執筆のモチベーションを維持できなくなることがよく起きるのですが(苦笑)、
「共同運営者」が存在するだけで怠慢や執筆疲れが一掃され、「対バン」をやっているが如く、「共同運営者には負けられぬ!」というモチベーションアップにもなるという、新鮮な発見がありました。

「廃棄物実務クエスト」の特徴は、執筆者からの一方通行の情報提供スタイルではなく、「○」か「×」かを投票する「参加型クイズ」である点です。

「これは全員正解かな?問題を簡単にしすぎたかな?」と思った問題でも、意外と誤解が多いことがわかったり、
逆に、「これは絶対正答率低いだろうな」と思っていた問題の正答率が意外と高かったりと、
執筆者の予想や想定が良い意味で裏切られることが数多くありました。

是非、当ブログ読者の皆様も、Xアカウント「@haikibutsuquest」をフォローいただき、毎週月曜日か火曜日に投稿されるクイズの解答に参加してみてください!

さて、肝心の共同執筆者についてですが、
元兵庫県職員で、現在北海道札幌市で行政書士事務所を開業している橋本啓太さんです。

橋本さんの事務所HP https://hashi-gyosei.com/

「元兵庫県職員」という点でピンと来た方がいらっしゃるかと思いますが、兵庫県職員としては、一応、私の後輩に当たる方です。

しかしながら、橋本さんが兵庫県に入った時には、既に私は兵庫県を退職していましたので、これまで面識はまったくありませんでした。
(そう言えば、まだ実際にお会いしたことも無かった 笑。Zoomでのやりとりだけでここまで来ました。)

私と橋本さんとは年齢がちょうど干支一回りほど離れていますので、「X」での投票募集その他、私では思いつかなかった斬新なアイディアを彼には数多く提供していただきました。

こういった単独では得られないアイディアを共有できるところが、コラボ事業の良さですね。

今後、もっと執筆記事が溜まった段階で、出版化できたら良いなあと夢想しております。

興味を持った出版社の方がいらっしゃれば、今のところ早い者勝ちですので、是非お問い合わせください(笑)。

あと、二人とも質問に事前準備無しで回答することが得意ですので、「研修」「講演」のご依頼もお待ちしております。

「尾上」または「橋本」への単独依頼でも構いませんので、「転ばぬ先の杖」として、実際に産業廃棄物実務の規制に当たった経験を持つ行政書士に疑問や不安をご相談ください。

ちなみに、私は、北海道から沖縄まで、呼んでいただけるのであれば、たとえ離島であろうと、どこでも喜んでおうかがいしております!

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2024年10月8日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:活動記録

あまり知られていない行政代執行後の現実

2024年9月24日付 NHK 「茨城県 放置の産業廃棄物を行政代執行で撤去へ 石岡

廃棄物は最大でおよそ1.5万立方メートルに及び、崩落のおそれが出たことから県は去年3月、法律に基づき1年以内の撤去を命じましたが、現在も1.2万立方メートルが放置されたままとなっており、県は24日から行政代執行による強制撤去に乗り出しました。

撤去費用は3億3000万円に上り、県の行政代執行としてはこれまでで最も多額となっていて、県は廃棄物を放置した業者らに全額を請求することにしています。

県道沿いにうず高く廃棄物が積まれた絵面のためか、ローカルニュース報道という枠組みを超え、民放の複数のワイドショー番組でも取り上げられるほどの話題になった案件です。

「通学路の近くに積まれていたので、撤去計画に安堵した」という地域住民の安心の声を報じることは当然として、
「税金を使って後始末がされることには納得がいかない」という、茨城県民と思しき通行人の方の率直な感想を取り上げていたテレビ番組が多かったように思います。

行政代執行事案については、代執行に至るまでの行政対応が適切であったかどうかに関する議論が非常に重要ではありますが、今回は視点を少し変え、意外と知られていない「行政代執行後の現実」を見ていこうと思います。

代執行費を取り戻せる可能性

茨城県が語っているように、行政代執行経費は、原因者に全額求償することが基本中の基本です。

ただし、求償をした後で、その費用を全額取り戻すことができるかどうかは、また別の話となります。

現実には、被求償者の預金や財産をすべて調べ上げた場合でも、総額で10万円の価値も無いということがよくあります。

行政が代執行に着手する前に友人知人に財産を預けたり、存在するかどうかわからない借金の担保として、持ち家と底地に急きょ抵当権を設定するといった手法が常套手段です。

それでも、代執行を行った自治体は、国税徴収法に則り、自治体が把握した不適正処理実行者の財産の差し押さえ等を粛々と行わなければなりません。

不適正処理実行者の財産が存在し続ける限り、自治体からの求償は続くことになりますが、不適正処理実行者の死亡等で、自治体としての債権を放棄せざるを得ない状況がやがてやって来ます。

実行者から100万円以上を取り立てることができた場合は、費用求償としては大成功の部類に入ります。
※その場合でも、代執行費全体と比較すると、微々たる割合であることがほとんどですが。

このように、いざ代執行費を請求したとしても、その全額を実行者から回収できるケースはまず無く、先に紹介した地域住民の懸念のとおり、最終的には、行政代執行費の大部分は、「住民」と「その他の国民と事業者」の負担となります。

もちろん、住民や国民・事業者に対し、行政代執行費の負担に関する請求書が発行されるわけではありません。

しかし、原因者がほとんど、あるいはまったくコストを負担しないため、自治体や国、何らかの基金といった「公金」で全面的に代執行費を賄うことになりますので、結局のところ、公金の元となる税を納めた国民と事業者が連帯して負担しているのと同様だからです。

行政代執行以前に大切なこと

今回の報道からは実際に撤去する予定の産業廃棄物の量が不明ですが、茨城県が負担する「3億3千万円」は、産業廃棄物の全量撤去ではなく、崩落のおそれがある法面部分の撤去に留まる規模と思われます。

その意味では、現実的かつ妥当な規模の行政代執行であると思います。

しかしながら、行政としては、行政代執行の臨まざるを得なくなった時点で、不適正処理実行者との戦いは「負け確定」となります。

廃棄物の不適正処理は、いつ起きるか分からない天災ではなく、「ある人間が意図的に廃棄物を放置した結末」であるため、幸いにも初期段階で行政側の人間が実行者を止める手段はいくつかあります。

そのため、廃棄物の放置を初期段階で抑制するか、制御不能になるまでほったらかしにするかは、すべてその自治体が自発的に選択した結果となります。

言うまでもなく、「放置を初期段階で抑制」できれば、その自治体の「勝ち」
「制御不能になるまでほったらかしにして、行政代執行しか手段が残されていない」という状況は、自治体の「負け」
となります。

「職務怠慢」「無責任」と声高に行政を批判することは誰でも簡単にできますが、ここで一度激した感情は脇に追いやり、
「人間はなぜ問題解決に着手せず、制御不能になるまで事態を悪化させるのか」を冷静に分析し、
今後の行政施策に活かすことが必要と思います。

産廃特措法の対象事案が現れるたびに、当事者の自治体がそのような総括をすることが通例となっていますが、他の自治体にとっては「対岸の火事」でしかなく、自分達が当事者になる可能性を考えることができていないように思われます。

過去の反省に基づき、「自治体は、最善の結果に至るための選択をどうすべきか」を、冷静かつ精緻に体系化する必要があると考えています。

環境省や自治体からのご依頼があれば、不肖私めも全力でご支援させていただく所存です。

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2024年10月1日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:危機対応

太陽光パネルリサイクルの法制化

「やるやる」とずっと言われていた、太陽光パネルリサイクルの法制化に向けた審議がようやく始まりました。

2024年9月13日 NHK 太陽光パネル リサイクルの制度化へ 環境省と経産省が初の会議

13日は環境省と経済産業省が合同でリサイクルの制度化に向けた初めての会議を開き専門家らが出席しました。

会議では発電事業者にパネルの廃棄計画の作成の義務や事業終了時の報告の義務を課すことを検討すべきだといった意見が出されました。

またリサイクルの費用負担については、パネルの製造者や輸入業者、それに発電する事業者に責任があるという意見が出た一方で、ビジネスの安定性が損なわれる可能性があり慎重に考えるべきだという意見も出されました。

(中略)

会議では冬ごろに議論をまとめることにしていて、環境省は来年の通常国会に関連法案を提出することも視野に議論を進める方針です。

審議会で議論された論点は後ほど掲載しますが、検討のスピードとしては、ほぼ年内での終結を目指しており、2025年の通常国会で関連法の審議に入るとのことです。

現在が2024年の9月中旬ですので、合計4回か5回の審議というところでしょうか。

場合によっては、合計3回の審議で終結する可能性もあります。

環境省が事前に公開している会議資料から、「議論いただきたい論点」2枚を転載します。

中央環境審議会循環型社会部会太陽光発電設備リサイクル制度小委員会・産業構造審議会イノベーション・環境分科会資源循環経済小委員会太陽光発電設備リサイクルワーキンググループ 合同会議(第1回)」の
資料3 太陽光発電設備の廃棄・リサイクルをめぐる状況及び論点について」より転載

大雑把な私見を述べさせていただくと、
「モノについての論点」の大部分は、自治体の先行事例や、既に各地に存在するリサイクル業者の実績から、実質的にはほぼ決着済みの論点が多いと思いました。

そのため、ここはこれまでに得られた知見を応用して当てはめていけば、それほど長くは議論する必要が無さそうです。

逆に「費用についての論点」は、「リサイクルの義務者」や「リサイクル費用の負担者」に関わるものですので、慎重、かつ多角的な検討が必要と考えます。

今回の合同会議のメンバーには、工学の泰斗が複数参加されていますので、実のある議論が進められるものと期待しています。

リサイクル費用の負担方法については、上記資料にも掲載されている既存の「(参考)太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度」

の枠組みを有効活用することが合理的ですね。

このように、太陽光パネルリサイクルについては、ゼロベースからリサイクル制度を立ち上げるわけではなく、既存のインフラや制度をうまく活用しながら、足りない部分を補い、より良い制度を目指すという方針になりそうです。

そのため、新しい法律を制定するのではなく、「資源有効利用促進法」の枠組みに追加されるのではないか?と、個人的には予測しておりますが、どうなることでしょうか。

皆様と一緒に、今後の成り行きを注視したいと思っています。

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労働災害における「アナフィラキシーショック」への備え

個人的に「アナフィラキシーショック」の危険性を初めて認識したのは、1991年に公開されたアメリカ映画「マイ・ガール」でした。

当時人気絶頂のマコーレー・カルキン演じる少年トーマスが、大量の蜂に刺されて絶命するという痛ましい描写が映画の終盤にあります。

その他、日本の映像作品にはあまり登場しない気がしていますが、アメリカのドラマや映画では、「ナッツアレルギー」な登場人物が数多く存在し、「ナッツアレルギーと知りながら、最後にピーナッツバターサンドを食べて自殺する死刑囚」や、暗殺や殺害手段として「ナッツアレルギー」を利用されるという可哀想な場面もよくあります。

「蜂毒」や「特定の食品」その他の誘因で、呼吸停止や心停止等の重篤なアレルギー反応に陥った状態が「アナフィラキシーショック」となります。

※「日本アレルギー学会」の「アナフィラキシーガイドライン」を参照しつつ記述しましたが、筆者は専門の医学的知識が無い人間ですので、上記には正確ではない表現が含まれている可能性がありますが、その場合はご容赦ください。

「アナフィラキシーガイドライン」は、医師の診断・治療レベル向上のために作成されたガイドラインですが、医師ではない私のような一般人にとっても有益な情報が数多く掲載されています。


※「アナフィラキシーガイドライン」より画像を転載

獰猛というイメージから、スズメバチによるショックしかないと思い込んでいましたが、「ハチ刺傷によるアナフィラキシーは、アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチの順に多い」ことが意外でした。

スズメバチが住宅地に巣を作ることもたまにありますが、アシナガバチの巣はそれほど大きくないことがほとんどであるため、気が付けば、軒下等の目立たない場所に営巣されていることが多いように思います。

そのため、「毒の強さによる違い」というよりも、「どれだけ人間の身近にいるか」によって、「アシナガバチ>スズメバチ」という順序になったのかもしれませんね。


※「アナフィラキシーガイドライン」より画像を転載

「致死的反応において呼吸停止または心停止までの中央値は、薬物5分、ハチ15分、食物30分との報告がある。蘇生に成功しても重篤な低酸素脳症を残すことがある」

あくまでも「中央値」ではありますが、「15分」という時間はかなり短い時間ですね。

言い換えると、「刺されてから15分間何もしない」場合、死に至る可能性すらあるわけです。

スズメバチのみなら、アシナガバチという人間のより身近にいる蜂によっても、アナフィラキシーショックが起きる可能性がある以上、
・蜂に刺されない対策
・蜂に刺された時の対策
の2つが重要と言えます。

従業員が主に野外で活動する業種の企業の場合、アナフィラキシーショックへの備えは必須と言えます。

先述したとおり、アシナガバチは都心でもすぐに営巣するため、巣の近くに立っただけで、場合によっては複数回刺されてしまう可能性もありますので、「ウチは山の中で仕事をするわけじゃないので、アナフィラキシーショックなんて絶対に起きない」と即断すると危険な気もします。

しかし、医師ではない一般人からすると、「何から手を付ければよいのか分からない」という心境になるのも無理ありません。

私自身を含めたそのような皆様にご紹介したいのは、

相模原労働基準監督署が作成・公表してくれている「蜂刺されによる死亡災害を防止しましょう」というリーフレットです。

「対策例1 蜂刺されの可能性自体の低減」「対策例2 刺された場合の重症化への備え」「エピペン」「蜂の性質」等
裏表で2枚分のリーフレットに、必要十分な情報が簡易明瞭に掲載されています。

すべての企業で今すぐできることは、

・労働者の過去の蜂刺されの経験の有無等を確認する。
・発症の可能性のある労働者に、登録医師からアナフィラキシー補助治療剤の処方を受けるよう勧奨する。
・作業者に当該アナフィラキシー補助治療剤の使用方法を教育し、これを携行させる。

という部分になりましょうか。

貴重な人材と人命を、「蜂の一刺し」で失ってしまわないように、企業としてできることはすべてやっておきたいところですね。

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2024年9月9日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:危機対応

財源確保か国益への協力か

清掃工場職員が、市がリサイクルのために回収した小型家電を盗み、転売して利益を得ていたことが発覚し、相模原市から懲戒免職されたという報道がありました。

2024年8月31日付 読売新聞 「小型家電リサイクルで回収の141点をネット売却、49万円利益で懲戒免職…業者売却なら1700円

 小型家電リサイクル法では、使用済み小型家電リサイクル事業で回収した物は全て認定事業者に売却・引き渡すことになっている。ところが、発表によると、男は昨年7月頃~今年5月頃、回収されたデジタルカメラやドライヤーなどの一部を盗み、少なくとも141点をネットオークションに出品、計約49万円の利益を得ていたという。


公務員が、行政が市民から回収した一般廃棄物を盗み、私利を図るために転売をした以上、懲戒免職になるのは当然です。

中古家電をオークションで落札した経験が無いので、中古家電の相場がわかりませんが、
「141点の出品で利益が49万円」とのことですので、ざっと「49万円÷140」で計算すると、1点当たり「約3,500円の利益」となります。

職場に転がっている物品を盗んでいるため、仕入れ原価は「0円」ですので、3,500円が丸々儲けとなります。

厳密には、落札者への配送料が必要ですので、それを差し引くと、「1点あたり3千円の粗利」というところでしょうか。

中古家電という属性からすると、高すぎず、安すぎない、妥当な価格帯のように思えます。

 男は、141点を通常通り業者に売却した場合に想定される代金約1700円を市に弁済済みで、49万円近くの利益についても寄付を申し出ているという。

初見では「1700万円って何!?」と驚きましたが、改めて記事を読み直すと、元職員が弁済した金額はたったの「1700円」でした。

小型家電リサイクル法に基づいてリサイクラーに買ってもらう場合は、「中古家電1点100円」という値付けではなく、「1キログラムあたり100円」といった従量制の値付けのようです。

小型家電リサイクラーの場合は、回収した廃家電を転売したりせず、全量を真面目にリサイクルしているものと信じておりますが、本来なら「喜んで買ってくれる人がいる中古品」「まだまだ使える電化製品」を、「資源の有効活用」という名の下に、粉々に破砕をすることが、果たして本当に「環境のために良い」のかどうか?

Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の並びが示しているように、「リサイクル」は一番最後の手段であり、「リデュース」と「リユース」の実施を先に検討する必要があります。

そう考えると、懲戒免職になった男性がしていたことは犯罪ではありますが、「リデュース」と「リユース」を促進していた点においては「環境に優しい」行動だったのかもしれません。

念のため繰り返しになりますが、行政が集めた不用品を、「もったいないから」という理由で清掃工場から運び出すと犯罪になりますので、持ち去りは「ダメ!ゼッタイ!」です。

さて、同じ廃小型家電141点を売却した場合でも、法律的に正しいルートでは「1700円」、直接ネットオークションに出品した場合は「49万円の利益」と、その差は約48万円になります。

「壊れて使用できない廃家電」の場合は、資源回収のためのリサイクルが唯一の選択肢となりますが、
「まだ使用できる中古品」や「売れそうな良品」の場合は、リサイクルに無理矢理回すよりも、ネットオークションに出品し、売却益を自治体の財源とした方が、自治体と住民双方にとってメリットがあると言えます。

「リユース」後に最終的に「廃品」になった時点で、「リサイクル」に回し、資源回収を図ることが、「小型家電リサイクル法」本来の制度理念ではないでしょうか?

読売新聞の報道に戻ると、懲戒免職された男性は、
「10ヶ月間で141点をネットオークションに出品」していますので、
「1月あたり約10点を継続的に出品、発送」していた計算となります。

「ネット販売が本業?」と思いたくなるマメさですが、このマメさを正しい方向に活用していれば、相模原市役所にとっても新しい収益源になったことでしょう。

現在、多くの自治体が、「中古品を欲しいと思う住民」を募るマッチングサービスを利用しています。

このサービス自体は有益ですし、筆者としても何ら異存は無いのですが、自治体自体が回収した不用品を直接ネットオークションに出品するといった、よりアグレッシブな「リデュース」策を採るところが現れてほしいと思っております。

「地方自治法」や「手数料条例」、そして「廃棄物処理法」等々、クリアすべき論点が多数存在することは認識しておりますが、「小型家電なら何でも受入れます」ではなく、「特定のカテゴリーの家電限定」で点検や修理の手間を掛ける余裕があるのであれば、貴重な自主財源となる可能性がありそうです。

要約すると、「リサイクルの一択」ではなく、「売れる物は売る」「売れない物はリサイクルで資源回収する」という、「転売」と「リサイクル」の2つのスキームが併存する形となります。

もっとも、どの地方自治体においても、人手不足が常態化していますので、「そんな面倒な手間を掛けていられないので、最初から小型家電リサイクル法の処分ルートに全量回す」というところだと思います。

しかし、万に一つの可能性かもしれませんが、首長の考えと事務方の考えが一致し、上記の趣旨に賛同していただける自治体が現れないとも限りませんので、あえて愚説を開陳させていただきました。

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2024年9月2日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:news

家電リサイクル実績(令和5年度)

2024年8月22日付で、環境省から「令和5年度における家電リサイクル実績について」が発表されました。

(2)指定引取場所における引取りの状況
 令和5年度に全国の指定引取場所において引き取られた廃家電4品目は約1,445万台(前年度比約3.4%減)であり、内訳を見ると、エアコンが約367万台(構成比約25%)、ブラウン管式テレビが約54万台(同約4%)、液晶・プラズマ式テレビが約307万台(同約21%)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が約334万台(同約23%)、電気洗濯機・衣類乾燥機が約384万台(同約27%)となっています。
 また、前年度比で見るとエアコンが約0.8%減、ブラウン管式テレビが約15.0%減、液晶・プラズマ式テレビが約0.8%減、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が約5.2%減、電気洗濯機・衣類乾燥機が約4.3%減となっています。
 廃家電4品目の合計約1,445万台は前年度の1,495万台を下回ったものの、引き続き高い水準を維持しております。


※環境省発表資料より、「令和4年度」と「令和5年度」の2年分を抜粋

猛暑が毎年続いているにもかかわらず、エアコンの引取台数が前年度より減少してしまいました。

令和5年度実績では、すべての家電リサイクル法対象製品の引取台数が前年度よりも減少しています。

「日本は家電大国!」という、日本国民の誇らしげな気分を刺激し続けてきた看板を下ろすべき時が名実ともに近づいてきたようです。

引き取られた廃家電4品目の再商品化等の状況

 家電メーカー等の家電リサイクルプラントに搬入された廃家電4品目は、リサイクル処理によって鉄、銅、アルミニウム、ガラス、プラスチック等が有価物として回収され、全社において法定基準を上回る再商品化率が引き続き達成されました。
 全体では、エアコンで93%(法定基準80%)、ブラウン管式テレビで73%(同55%)、液晶・プラズマ式テレビで85%(同74%)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫で80%(同70%)、電気洗濯機・衣類乾燥機で92%(同82%)と、法定基準を上回る再商品化率が引き続き達成されました。

すべての対象品目において、令和5年度もリサイクル率は法定基準を上回りました。

フロン類の再商品化実施状況

 エアコンの冷媒フロン類は約2,493トン、電気冷蔵庫・電気冷凍庫の冷媒フロン類は約111トン、電気洗濯機・衣類乾燥機の冷媒フロン類は約40トン、電気冷蔵庫・電気冷凍庫の断熱材に含まれるフロン類は約192トンが回収されました。

「フロン類」については、令和4年度実績よりも回収量が減っています。

上述したとおり、「エアコン」の回収量自体が令和4年度よりも減った影響かと思われます。

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2024年8月26日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:統計・資料

廃棄物処理法改正の議論は2025年開始の模様

2017年に議論が始まった改正廃棄物処理法の(一部)施行が2018年4月1日だったので、その5年後の2023年には廃棄物処理法改正の議論が始まるものと思い込み、毎日毎日、環境省のメールマガジンをチェックし続けてきました。

とっくの昔に2023年は過ぎ去ってしまい、2024年現在も、環境省からメールが届いた途端に「廃棄物処理制度専門委員会」という文字が無いかを確認する日が続いています。

ここで、「なぜ5年後という数字を持ち出したのか?」という疑問を持った方がいらっしゃると思います。

それは、2017(平成29)年改正時の「附則」で、

附 則 (平成二九年六月一六日法律第六一号)
第五条(検討)
 政府は、附則第一条第二号に規定する規定の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

と規定されているため、「2018年(4月1日)+5年後=2023年4月1日以降だよね?」という計算をしていたためです。

しかし、ようやく、「いつになったら法律改正の議論を始めるのか?」と悶々とし続ける必要が無くなりました。

2024年8月19日付産業新聞 「不適正ヤード対応検討 環境省、業者数の実態把握

 環境省は不適正ヤード問題への対応を検討する。2025年度に改正廃棄物処理法の施行後5年の点検時期を迎える。その準備段階として本年度は自治体や事業者へのヒアリングを実施。前回の改正で新たに創設された廃家電など「有害使用済機器保管等届出制度」をはじめとする現行制度の運用状況や課題、新たな規制のあり方を議論する有識者会議の設置を予定する。

2017年改正法の大部分は、2018年4月1日から施行でしたが、
法律改正の手続き上、「改正法の一部(というか大部分ですが)施行日ではなく、全面施行された日から起算する」という方針だったようです。

そのため、電子マニフェストの(一部)義務化に関する改正部分の施行日が、「平成32(2020)年4月1日」だったため、「2025年から検討開始」となるようです。
※参考 当ブログ 2018年2月6日付記事 「施行令改正(補足) 改正法の施行日

どんなテーマが改正法に盛り込まれるのかに興味が尽きませんが、環境省としては、「雑品スクラップヤード規制」を重要なテーマと考え、前準備として既に有識者会議設置に向けて動き始めているようです。

最近、雑品スクラップヤードや、産業廃棄物処分場で発生した激しい火災に関するニュースが続いているため、「雑品スクラップヤード規制」も社会的に重要なテーマであることは事実です。

しかしながら、個人的には、あくまでもそれは対症療法的対策に過ぎず、制定後50年を経て、社会状況と乖離することが多くなってきた廃棄物処理法の抜本的な改善にはならないと思います。

「専ら物の定義」や「無償での下取り回収」、「実証実験の一環として産業廃棄物処分」等、法律上で明確にすべきテーマは非常に多く存在します。

是非、次の2025年に設置される「廃棄物処理制度専門委員会」においては、これまで積み残してきた、あるいは「見なかったことにしてきた」構造的課題にもメスを入れ、行政や企業活動の効率化アップのためにも、抜本的な見直しに着手していただくことを期待しています。

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2024年8月19日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:2025年改正

起きるべくして起きた不法投棄

記録的な猛暑が続いているためか、常識的な判断すらできない人が増えているようです。

2024年7月31日 「イノシシの死骸、回収後に道ばたに捨てる 町職員が不法投棄の可能性

 福岡県苅田(かんだ)町は31日、有害鳥獣として町内で回収したイノシシの死骸1体を、町職員らが道路沿いに投棄していたと発表した。目撃した人の110番通報で発覚し、県警が事実確認を進めている。町は廃棄物処理法違反の可能性があると判断し、再発防止策を検討している。

「違反の可能性」ではなく、「完全に廃棄物処理法違反」です(涙)。

獣の死骸を道端に捨てると、猛暑の中それがひどい悪臭を放つであろうことは、大人なら容易に想像できるはずですが、あえてそれを敢行したということは、同地には「ハイエナ」や「空腹で貪欲なカラス」といった腐肉をあさる野生生物が生息しているのでしょうか?

 通常は、捕獲した時点でとどめをさし、食用に解体するか山中に埋めて処理しているという。死後時間が経ち、大きすぎて埋めることもできなかったため、男性の判断で職員が投棄したという。

前段は、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」で認められている、狩猟鳥獣の狩猟現場での基本的な処分方法についてです。

「大きすぎて埋められなかった」とありますが、スコップ等の道具があれば、箱罠設置場所付近に埋められたような気がします。

イノシシ捕獲用の箱罠の場合、断崖絶壁の岩場ではなく、森や山などの土がある場所に設置することが普通ですので、「埋められなかった」ではなく、「埋めるための作業が面倒だった」が本音だったように思われます。

もっとも、「80㎏のイノシシを苦労して車に積む」よりも、「スコップやショベルで穴を掘って埋める」方が楽そうに思えますが。

また、「回収したイノシシの死体」を不法投棄すること自体が言語道断ですが、「回収したイノシシの死体」は「一般廃棄物」であるため、「町役場内で調整をしさえすれば、円滑に町内で処分できたのでは?」と疑問に思いました。

そこで、苅田町の一般廃棄物処理計画を見てみると、
苅田町一般廃棄物処理実施計画(令和6年度)」では、
「可燃物」は第三セクターの苅田エコプラント株式会社で「固形燃料化」
「犬・猫等の死体」は「動物霊園」が挙げられています。

そのためか、

 県警行橋署によると、29日、「苅田町と書いた車で来た数人がイノシシを捨てている」と110番通報があった。署からの連絡で町が把握した。その後、死骸を隣町の動物霊園に運び、焼却した。

と、イノシシの死体も動物霊園に運び、焼却処分をしたとのことです。

廃棄物由来の固形燃料(RDF)を作る施設の場合、「イノシシの死体」などは投入してはならない禁忌品なのでしょう。

ここで気になった点は、「動物霊園」の廃棄物処理法上の位置づけです。

当該「動物霊園」には、「一般廃棄物処分業許可」「一般廃棄物処理施設設置許可」等の許可が出ている形跡がインターネット上で見出せませんでした。

福岡県が毎年公表している「ダイオキシン類の自主測定結果」の一覧にも入っていないため、廃棄物処理法とダイオキシン類対策特別措置法の規制対象外となる、かなり小規模な焼却炉と思われます。

「象さんも燃やせる焼却炉」ではなく、「ペット等の小型愛玩動物専用の小型焼却炉」といったところでしょうか。

となると、80㎏超のイノシシの死体を一回で燃やせるとは思えないので、小分けにした上で焼却をしたのかもしれません。

小規模焼却炉であれば、「一般廃棄物処分業許可」も「一般廃棄物処理施設設置許可」も不要になるため、法律の狭い隙間に存在することが可能ではありますが、イノシシの死体をバンバン持ち込まれるような事態は、動物霊園としては歓迎できない状況と思います。

 町は、職員の法令理解が足りず、捕獲動物の処理方法も確立していなかったのが原因とみて、手続きのマニュアル整備や指導・研修などの再発防止策を講じる予定。

「大型鳥獣の死体」の処分方法を予定すらしていなかった状況は、「トイレの無い新築物件に住んでいる」のと同様で、破綻することは時間の問題でした。

そのため、今回の不法投棄事件は、起きるべくして起きた不祥事と言わざるを得ません。

苅田町として今後必要な対策は、
・捕獲現場での埋設処分を徹底
・近隣で大型鳥獣の焼却可能な施設を見つけ
全関係者に周知徹底を図ることだと思います。

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2024年8月5日 | コメント/トラックバック(0) |

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農業廃棄物の解決手段

前回の「農家の産業廃棄物委託基準」の続きとなります。

「農家に著しい負担とならず、社会的にももっと合理的な解決策」に関し、愚考した結果を記していきます。

結論を先に書くと、
農家にとって完全にストレスフリー、かつ手間フリーという夢のような解決手段は存在しません。

「農協が提供した共同集荷場所に農家自身で持ち込む」場合以外は、基本的に、農家は「排出事業者」として、「委託契約書」や「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」の運用が不可欠となります。

まず、前提条件として、農業廃棄物の弱点は2つあります。

第一に、「軽量でも容量としてはかさばる物が多い」
第二に、「土や泥等の汚れが付着することが多い」 という制約です。

「資源として売る」ことを目指す場合は、土や泥が付着しないように、プラスチック容器などを誰かが洗浄する必要があります。

そこで、まず決めるべきことは、「農家において水でどこまで洗浄してもらうか」という基準になろうかと思います。

「水をかけて洗浄なんてやってられるか!」という人が大半の場合は、「破砕」や「焼却」をし、処分場で埋立て処分をしていくしかありませんので、今までどおりの処分方法を踏襲していくこととなります。

逆に、「コンテナの泥落としくらいならやるよ」という人が多い場合は、
・プラスチックの材質を選別し、
・プラスチック原料として買い取ってくれる相手が見つかり、
・買取り業者が求める品質にプラスチック廃棄物を加工できるのであれば、
場合によっては、「処分費(コスト)」ではなく、「売却益(利益)」が発生する可能性もあります。

※実際には、回収量や回収場所からリサイクル先までの距離の問題で、「買取額」よりも「運賃(送料)」の方が高くなることがほとんどです。

先述した第一と第二の制約上、農業廃棄物の場合、
農家 → 中間処理業者 という直接取引ルートを取ると、コスト面で無駄が生じることが多くなります。

そのため、
農家 → 農協その他の第三者で集約処理 → 買取り業者
という商流が不可欠と考えられます。

もちろん、上記の「農協その他の第三者」は、各農家が発生させた産業廃棄物処理を受託することになりますので、産業廃棄物処理業の許可取得が必須となります。

手ばらしだけで解体できるのであれば、「産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を含む)」の許可で操業可能ですが、この場合、最終的に積替え保管場所から処分業者のところに産業廃棄物が行くのであれば、「農家と産業廃棄物処分業者との契約」が必要となります。

農協等が廃プラスチック類破砕機を設置し、産業廃棄物処分業の許可を取得する場合は、農家にとっては農協等だけが契約の相手方となりますので、契約書と産業廃棄物管理票の運用はそれほど難しくありません。

実際、地域によっては、ビニールハウスシートの集約処分等を目的として、農協が処分業許可を取得し、農家が排出した産業廃棄物を引き受けている実例が既にあります。

残りは業許可取得のための現実的な課題ですが、それは大別すると3つあります。

第一に、「そこそこの広さがある敷地を確保できるかどうか」

事業用地の確保可能性が無いのであれば、どうしようもありませんので。

第二に、「機械や建屋を設置するための資金があるかどうか」

既存の建屋があり、そこで産業廃棄物を保管し続けることが可能であれば、機械を置かずに、「積替え保管」事業を行うこと自体は可能です。

この場合は、本当の意味での「集荷場所を提供」することになるため、事業内容としては理解しやすいかと思いますが、先述したとおり、農家と産業廃棄物処分業者との契約は不可欠です。

廃プラスチック類の破砕機の場合、中古市場で出回っていることも多いため、運がかなり良ければ、安価で理想的な設備を購入できるかもしれません。

ただし、リサイクル原料として、中間処理後に売却できる品質に産業廃棄物を加工したい場合は、機械メーカーと協議の上、最適な設備を導入した方が良いだろうと思います。

第三の課題は、「人員を配置できるかどうか」です。

昨今の社会情勢においては、これが一番のネックかもしれません。

事業として産業廃棄物処分業を行う以上、最低限の人員配置は必須となります。

いずれも、悩ましい現実には違いありませんが、「土地と建屋は既存のものを利用可能」という場合は、かなりハードルが低くなりますので、実現可能性はより高くなります。

人員については、フルタイムの雇用ではなく、「週2回の稼働日だけのパート雇用」という形でも、廃棄物処理法上は問題ありません。

農協等の地元に根ざした組織が処理業許可取得を目指す場合、一般的なよそ者企業が乗り込む場合とは異なり、地元の反対はほぼ出ないと思われますので、上記の課題をクリアできている場合は、かなり円滑に業許可を取得できます。

それでも不安に思う場合は、是非当事務所にご相談ください(笑)。

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2024年8月2日 | コメント/トラックバック(2) |

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