再委託された後の手続き

前回の「排出事業者にとっての再委託されるリスク」では、

再委託された場合に排出事業者に発生するリスクとは、この「(産業廃棄物管理票に関する)措置内容報告」です。

と述べました。

リスクとは言え、「措置内容報告書」を都道府県等に提出しさえすれば、排出事業者は廃棄物処理法上の義務を果たしたことになります。

しかしながら、「たかが産業廃棄物管理票の修正ミスでしょ」あるいは、再委託されたことに気づけない場合が相当多いものと思われます。

その結果、排出事業者の措置義務違反として、不法投棄などに巻き込まれた場合には、廃棄物処理法第19条の5に基づく措置命令の対象になる事態が生じます。

では、そもそもなぜ「措置内容報告書」を提出する義務が発生するのでしょうか?

その根拠は、廃棄物処理法第12条の3第8項になります。

廃棄物処理法第12条の3
8 管理票交付者は、環境省令で定める期間内に、第三項から第五項まで若しくは第十二条の五第五項の規定による管理票の写しの送付を受けないとき、これらの規定に規定する事項が記載されていない管理票の写し若しくは虚偽の記載のある管理票の写しの送付を受けたとき、又は第十四条第十三項、第十四条の二第四項、第十四条の三の二第三項(第十四条の六において準用する場合を含む。)、第十四条の四第十三項若しくは第十四条の五第四項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、環境省令で定めるところにより、適切な措置を講じなければならない。

前回も述べましたが、「法第12条の3」でいうところの「虚偽の記載」とは、
「実際の廃棄物処理状況」について虚偽ではなく、
「契約上、あるいは法律上許容される記載かどうか」が判断の基準となろうかと思います。

無断で再委託された際の虚偽の記載例としては、

産業廃棄物管理票のB2票に、
「氏名又は名称 株式会社下請商店 適当処理株式会社」

というイメージとなります。

もちろん、「無断の再委託」ではなく、「事前に委託者の承諾を受けた上での再委託」であれば、
上記のような記載に至った経緯を委託者が把握していますので、委託契約と廃棄物処理法に則った修正として、虚偽の記載と扱う必要はありませんね。

なお、「法に則った修正」と書きましたが、廃棄物処理法で産業廃棄物管理票の記載修正のやり方を定めているわけではありません。

大切なことは、「産業廃棄物管理票の記載を恣意的に書き換えないこと」です。

そのための手順が、「再委託することへの承諾書」になりますが、それについては後日また別の機会に。

さて、「措置内容報告書」の書式についてですが、自治体がHPで様式を公開していることも多いため、産業廃棄物発生場所を管轄する自治体にお問い合わせください。
例 大阪府の記載例

この報告書を、「無断の再委託を知った時」すなわち「産業廃棄物管理票の虚偽記載を知った時」から「30日以内」に提出しなければなりません。

報告する内容としては、
・産業廃棄物管理票の交付番号
・現在の産業廃棄物の状況(未処理なのか、それとも最終処分が終わったのか等)
・排出事業者として講じた措置
等になります。

本記事は連載の一部ですので、過去記事もお読みいただくと、より理解が進みます。

(第1回)委託先業者に無断で再委託された場合の対応
(第2回)再委託されたことに気づくタイミング
(第3回)再委託の違法性の整理

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