2010年廃棄物処理法改正 保管場所の事前届出義務(1)

今回から、廃棄物保管場所の届出義務について解説します。

※廃棄物処理法改正案は、下記のURLで全文を参照できます。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=12222

2010年の廃棄物処理法改正は、不法投棄対策が主眼であり、そのための方策が色々と盛り込まれています。

当ブログで解説した建設廃棄物は、不法投棄された廃棄物の大半を占めるものであり、建設廃棄物の処理責任者を法律上で明確にしたことには、大いに意義があります。

その他、廃棄物の大量保管の温床となっていた「一時保管」や「仮置き」に対しても、メスが入れられることになります。

それが、「廃棄物保管場所の事前届出義務」です。

これがどんな義務であるかというと

廃棄物の発生場所以「外」で廃棄物を保管する場合には、「あらかじめ」都道府県知事にその旨を届けなければならなくなります。

「あらかじめ」届出ることを怠った場合には、「6月以下の懲役、または50万円以下の罰金」という非常に重い罰則が予定されています。

届出という比較的忘れやすい義務に対し、懲役というペナルティはいかにも重い感じがいたします。

裏を返せば、環境省は、それだけ「一時保管」の害悪を重要視しているとも言えます。

まだ様式などは公開されていませんが、保管場所や保管する廃棄物の量、保管期間などを届けることになると思われます。

注意が必要なのは、届出の対象となる保管場所が、産業廃棄物の発生場所以「外」で保管をする場合だけであり、製造現場などの同一敷地で廃棄物を保管する場合は、従来通り保管場所を届ける必要はありません。

ただ、地方自治体によっては、今回の法律改正に先立ち、地方独自の条例などで廃棄物の保管場所の届出を既に義務付けているところがあります。

その中には、廃棄物の発生場所と同一敷地内の保管であっても、届出を義務付けている自治体が存在しています。

株式会社日報アイ・ビーの調査によると、船橋市、石川県、金沢市、名古屋市、豊田市、三重県、和歌山県、大分県は、事業所内の保管場所も届出の対象となっています。
※出典 株式会社日報アイ・ビー発行の 週刊循環経済新聞2月1日号
株式会社日報アイ・ビー

このような新しい実務は、法律が変わった当初は比較的真剣に取組まれるものですが、人事異動を重ね、知識が無い人が担当になると、届出を忘れてしまいがちになります。

「義務を怠れば懲役刑」という大変大きなリスクの発生要因となる実務ですので、組織内で情報の更新と共有を、定期的に繰り返し行うことが大切です。

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