2010 年廃棄物処理法改正 委託先業者の現地確認(3)
現地確認のポイント(現場編)
今回は、現地確認のポイント(現場編)について解説します。
前回は、現地確認をするために必要な心構えを解説しました。
現地確認を行うあなたの目的は、
「委託契約を適切に行う」ことと、
「不法投棄に巻き込まれない」ことにあります。
そのため、行政がマニュアルに基づいて行う立入検査のような厳格さは必要ありません。
「認められた保管容量を10立方メートル超過している!」などと、細かい数値を計測する必要はありません。
しかし、そもそもの現地確認の目的を達成するためには、行政が着目しないポイントにも注意をはらう必要があります。
以下、見るべきポイントとその理由を解説していきます。
1.現地確認の際は、廃棄物の保管方法の確認が基本
・保管場所の管理は適切か
・飛散流出・地下浸透していないか、ヤードの壁は安全か
・大量に貯まりすぎていないか
行政処分にもっとも直結しやすいのが、廃棄物の大量保管です。
その他、後述しますが、廃棄物の大量保管は、不法投棄などの不適正処理に結びつくことが多く、その現場で働いている労働者が事故に遭遇する危険性も増えるため、恒常的に大量保管を続けている処理企業は信頼しにくいと言えます。
2.廃棄物の「入」と「出」の比較
廃棄物処理業の場合は、「廃棄物の引取り=売上」という部分が大きいため、「仕入れ」の後に「売上」が成立するという、一般的なお金の流れとは異なる商流となっています。
具体的には、「売上」を計上した後に、「仕入れ=処分」を行うことになりますので、「売上」と「仕入れ」のバランスが非常に重要なビジネスです。
利益を手っ取り早く増やすためには、廃棄物の引取り量を増やすと同時に、他社に支払う処分費を極力抑えることで、簡単に達成できます。
真っ当な商売を続けるためには、そのような手法を続けることは不可能なのですが、悪意を持った企業が、一時的にこのような手法で売上を増やした後、未処理の廃棄物が大量に残ったまま倒産 という実例が最近増えています。
そのような危険な取引先を見抜くポイントとしては、
・見た目の廃棄物保管量の多さ
・事業場に出入りする車の搬入と搬出の台数
などが、具体的な指標となります。
3.その他
・契約書とマニフェストの保管状況 は当然として
・従業員の態度や服装 も 実は重要な指標となります。
従業員が来客に対して挨拶をしない企業は、従業員が自分の仕事に誇りをもって取り組んでいないことがほとんどです。
または、経営者が、従業員の給料を著しく抑えているのかもしれません。
いずれにせよ、現場の従業員のモラルが低いと、廃棄物の不適正処理はそれだけ発生しやすくなるため、そのような企業は取引先としてやはり信頼性に欠けます。
たとえ、経営者や営業担当者が口をそろえて「我が社は法令順守がモットーです」と言っているとしても、それだけでは単なる「スローガン」です。
現地確認のポイントを大きく3つに分けて解説してみました。
「百聞は一見にしかず」ですので、この機会に、まずは現地確認を体験してみて、そこで浮かび上がった問題点に改善を加えていってみてください。
処理企業の場合は、他人からはこのような目でチェックされるのだという視点で、もう一度今回の内容を振り返っていただき、自社の改善に役立てていただければと思います。
« 自治体規則による届出強制の可否(昭和52年11月5日付環産59号通知より抜粋) 昭和60年7月12日付衛産第36号 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律適用上の疑義について」 »
タグ
2010年4月26日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |