2017年廃棄物処理法改正案の解説(Vol.6 施設に対する命令の補足)

今回と次回の記事は、2017年改正法案の中でもあまり実務に関係しない内容となりますが、念のために解説しておきます。

第6回目は、「産業廃棄物処理施設に対する命令に関する補足」についてです。

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法第15条許可を受けた産業廃棄物処理施設で、「当該産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物として環境省令で定めるもの」を処理する場合は、事前に届出をすれば一般廃棄物処理施設として扱うことが可能です(法第15条の2の5)。

しかしながら、そうした産業廃棄物と一般廃棄物の両方を処理できる施設の場合、産業廃棄物処理施設として「事業停止命令」や「改善命令」をかけたとしても、一般廃棄物処理施設として使う分には、先の命令で制限できないのではないか、という疑問が起こったようです。

それを解決するために、産業廃棄物処理施設への命令の根拠となる「法第15条の2の7」に、「一般廃棄物処理施設を含む」という一文を念のために付け足すことにしたようです。

(改善命令等)
第十五条の二の七
 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、産業廃棄物処理施設(その処理施設が第十五条の二の五の規定に基づき一般廃棄物処理施設として設置されている場合における当該一般廃棄物処理施設を含む。以下この条において同じ。)の設置者に対し、期限を定めて当該産業廃棄物処理施設につき必要な改善を命じ、又は期間を定めて当該産業廃棄物処理施設の使用の停止を命ずることができる。
一~四 (略)

頭の良い人が持ち出す”屁理屈”に思えて仕方がありませんが、法の抜け穴(?)をふさぐためには必要な改正なのかもしれません。

この内容は廃棄物処理制度専門委員会では議論されていない項目なので、同委員会終結後に起こった事態をきっかけとして、環境省が改正法案に盛り込んだものと思われます。

そうなると、事実確認はしていませんが、2017年2月3日に起こったこの事態を念頭に置いた改正なのかもしれないと考えています。

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