罰則から見る委託基準の詳細Vol.4(産業廃棄物の委託基準)

罰則から見る委託基準の詳細Vol.1
罰則から見る委託基準の詳細Vol.2 
罰則から見る委託基準の詳細Vol.3(一般廃棄物の委託基準) の続きとなります。

委託基準に関する罰則の最後として、産業廃棄物の委託基準の詳細を見ます。

廃棄物処理法第26条の罰則は下記のとおりで

第26条  次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第6条の2第7項第7条第14項第12条第6項第12条の2第6項第14条第16項又は第14条の4第16項の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を他人に委託した者
二~六 (略)

赤字で書いた条文は「委託基準に適合しない狭義の委託基準違反」、青字で書いた条文は「廃棄物処理業者のみに適用される再委託」に関する罰則でした。

このうち、「第6条の2第7項」については、「罰則から見る委託基準の詳細Vol.3(一般廃棄物の委託基準)」で解説をしましたので、今回は、「第12条第6項」と「第12条の2第6項」の詳細を見ます。

廃棄物処理法第12条第6項
 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

廃棄物処理法第12条の2第6項
 事業者は、前項の規定によりその特別管理産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の違いはありますが、内容的にはまったく同様の条文です。

委託基準の詳細は廃棄物処理法施行令に定められています。

(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)

 廃棄物処理法施行令第6条の2 
 法第12条第6項 の政令で定める基準は、次のとおりとする。

一 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第6条の4までにおいて同じ。)の運搬にあつては、他人の産業廃棄物の運搬を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の運搬がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
二 産業廃棄物の処分又は再生にあつては、他人の産業廃棄物の処分又は再生を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の処分又は再生がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
三 輸入された廃棄物(当該廃棄物を輸入した者が自らその処分又は再生を行うものとして法第15条の4の5第1項の許可を受けて輸入されたものに限る。)の処分又は再生を委託しないこと。ただし、災害その他の特別な事情があることにより当該廃棄物の適正な処分又は再生が困難であることについて、環境省令で定めるところにより、環境大臣の確認を受けたときは、この限りでない。
四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
イ 委託する産業廃棄物の種類及び数量
ロ 産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地
ハ 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力
ニ 産業廃棄物の処分又は再生を委託する場合において、当該産業廃棄物が法第十五条の四の五第一項 の許可を受けて輸入された廃棄物であるときは、その旨
ホ 産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第五項 に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力
ヘ その他環境省令で定める事項
五 前号に規定する委託契約書及び書面をその契約の終了の日から環境省令で定める期間保存すること。
六 第6条の12第一号又は使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令(平成25年政令第45号)第4条第一号の規定による承諾をしたときは、これらの号に規定する書面の写しをその承諾をした日から環境省令で定める期間保存すること。

上記のうち、一号から三号までは、委託先が産業廃棄物処理業者等であるかどうかや、許可内容が適切かどうか等の、「委託先事業者の適格性」に関する規定が置かれています。

第四号は、産業廃棄物処理委託契約書に書かねばならない法定記載事項の規定です。

「環境省令で定める書面」とは、「廃棄物処理法施行規則第8条の4」で定める書面となり、「許可証の写し」等となります。

「ヘ その他環境省令で定める事項」は、「廃棄物処理法施行規則第8条の4の2」で定めるその他の法定記載事項となり、「契約の有効期間」や「委託料金」その他となります。施行規則第8条の4の2の全条文を引用すると若干長くなるため、条文の詳細を知りたい方は、施行規則を参照していただくか、拙著の該当部分をお読みいただく、あるいは筆者が登壇するセミナーをご受講ください(笑)。

第五号は、委託契約書の保存期間で、「廃棄物処理法施行規則第8条の4の3」により、「(契約終了日から)5年間」と定められています。

第六号は、「廃棄物処理法施行規則第8条の4の4」により、委託先処理業者等が再委託をすることを承諾した場合に、その承諾書を「5年間」保存しなければならないと定められています。

以上が産業廃棄物に関する委託基準ですが、特別管理産業廃棄物の場合は、次のような規定が置かれています。

廃棄物処理法施行令第6条の6
法第12条の2第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。

一 特別管理産業廃棄物の運搬又は処分若しくは再生を委託しようとする者に対し、あらかじめ、当該委託しようとする特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状その他の環境省令で定める事項を文書で通知すること。
二 前号に定めるもののほか、第6条の2各号の規定の例によること。

特別管理産業廃棄物の処理委託の場合は、「あらかじめ文書で通知」という部分がミソとなります。

通知すべき内容は、廃棄物処理法施行規則第8条の16で、下記のとおり定められています。

(特別管理産業廃棄物の処理の委託に係る通知事項)

廃棄物処理法施行規則第8条の16
令第6条の6第一号の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 委託しようとする特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状及び荷姿
二 当該特別管理産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

なお、「罰則から見る委託基準の詳細Vol.3(一般廃棄物の委託基準)」でも書きましたが、「あらかじめ」というのは、「委託契約締結時」ではなく、「特別管理産業廃棄物の処理委託をするたび」を指すというのが筆者の考えです。

以上で、罰則から見た委託基準の詳細の解説を終了します。

本の1章分のテーマになるくらいのボリュームとなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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