中学生のセンスが光る不法投棄防止看板

当ブログでは、様々な不法投棄抑止策を取り上げてきました。

監視カメラに代表されるハイテクから、鳥居等がもたらす精神的なプレッシャーに期待するローテクまで、各地で様々な試行錯誤が行われているところです。

今回取り上げるのは、中学生が環境学習の一環で製作した不法投棄防止看板です。

2014年10月12日付 十勝毎日新聞 ポイ捨てに光る目 札内中3年がユニーク看板

【幕別】ポイ捨て、不法投棄、この目がしっかり見ています-。札内中学校(式見貴美穂校長、生徒391人)の3年生が、両目の写真を配したユニークな啓発看板を製作、ごみを拾いながら、不法投棄などが懸念される町道沿いの4カ所に16本設置した。

 3年生(132人)は総合的な学習の中で「地域貢献」として、福祉や観光など4コースに分かれ、自分たちが暮らすマチがよりよくなるための提案や活動を計画。今回看板製作をしたのは環境コースのメンバー35人。

 看板の大きさはA3サイズで、ラミネート加工を施し、木製の棒に取り付け1メートル80センチほどの高さとした。今月初めに生徒の発案で製作。モンタージュのように写真を引き伸ばし目の部分だけ取り出して貼り付け、「見られていますあなたの不法投棄」「その行動であなたの未来変わります」などのメッセージも付けた。

作製した啓発看板(画像は、十勝毎日新聞社のサイトより転載)
makubetsu

 10日には、町の町民課の平井幸彦・環境衛生係長の協力で、町道途別新川線の豊岡や猿別地区、同糠内古舞線の古舞地区、学校近くの「いなほ公園」などを回り、ごみを拾って看板を設置した。収集ごみはペットボトルや飲料缶の他、タイヤやいすなどもあり、重さは180キロにも上った。

 町内では5~6月、廃家電の大量廃棄が見つかる事件もあった。平井係長は「公園以外は普段それほど交通量が多くなく、住宅も少ない場所」とし、看板を提案した同コースメンバーの松田千佳さんと浅井雄大君、菅野桃花さんは「このインパクトある看板で少しでもゴミが減ればうれしい」と笑顔。担当の播雅彦教諭も「郷土愛を育み、ごみを捨ててはいけないことを学べた」と話していた。

 生徒たちは学習の成果をまとめ、他の総合学習3コースとともに保護者向けに発表する予定。

「その行動であなたの未来変わります」という看板のキャッチフレーズが秀逸ですね。

5分やそこらで思いついたフレーズではないと思います。

材料費がA3サイズの用紙と、1.8m程度の柱、そしてラミネート代だけという、ローコストを徹底している点も素晴らしい!
(中学校の授業の一環なので、材料費をかけないというのが当然のことなのかもしれませんが)

今まで見てきた不法投棄抑止策の中では最高のコストパフォーマンスと言える作品です。

キャッチフレーズやローコスト化という点においては、札内中学生のオリジナルに相違ありませんが、
元々の人間の目玉を利用した不法投棄防止看板は、国土交通省仙台河川国道事務所の取組みが嚆矢と言えます。

他に、北海道士幌町の取組みでは、目玉の効果が大きすぎたためか、「夜に通るとぎょっとする」「別の看板に取り換えられないか」といった、反論が上がっているそうです。

この看板の効果はおそらく高いと思いますが、効果云々という以前に、
中学生が人間心理について考え、それを社会的に望ましい方向に導く工夫をしたということが、何よりも一番大きな経験となったに違いありません。

個人的には、長野県の「ごみ無し地蔵」にはどことなくユーモラスな雰囲気があるので、一番好きです(笑)。


※お地蔵様の画像は、長野県上小地方事務所のブログから転載させていただきました。 じょうしょう気流 (上小地方事務所)

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