2010年改正の解説(9) 廃棄物の輸入

11月12日に配信したメールマガジンを転載します。

 第9回目は、廃棄物の輸入に関する改正内容について解説します。

 国外から廃棄物を輸入する場合は、従来より環境大臣の許可を受ける必要がありました。

 そして、その許可を申請できるのは、
「産業廃棄物処分業者」と「産業廃棄物処理施設を自前で有する排出事業者」
の2者に限られていました。

 しかし、2010年の法律改正によって、
 「自ら又は他人に委託して適性に処理することができる」者、という表現に統一されました。

 一見すると、排出事業者しか許可申請ができないのかと思ってしまいますが、「自ら処理できる者」には、当然「産業廃棄物処分業者」が含まれてきます。

 今回の改正の目玉(?)は、

 自前で産業廃棄物処理施設を有していない排出事業者であっても、適切な施設を持つ産業廃棄物処分業者に委託をする計画であるならば、 輸入の許可申請者として認めてあげましょう

 ということになります。

 施設の所有の有無に関係なく、排出事業者自身に許可申請を認めるわけですから、文句なしに規制緩和です。

 実際にこのメリットを活用できそうなのは、

 円高で製造拠点の海外進出が著しい、国外向けに製品を販売している製造事業者でしょうか。

 日本国外では回収が難しいレアメタルや、日本でしか処理できない有害物質(例:水銀)など、本来は製造者に期待されている、製造物の最終的な処理への関与に、主体的に関わることができるようになるでしょう。

 さて、厳重に許可まで受けて廃棄物を輸入するわけですので、輸入した後の廃棄物も厳重に規制されることになります。

 政省令の改正内容が確定しませんが、

 自ら輸入した廃棄物を処理するとして許可を受けた事業者は、災害などの発生のため適切に処理を行うことが困難となった場合を除き、委託することができなくなりそうです。

 当然、輸入した廃棄物を他社に再委託することも不可となります。

 輸入した以上は、しっかりと廃棄物の面倒を最後まで見てくださいよ
 ということですね。

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