特定プラスチック使用製品提供事業者の判断基準(第6回)

プラスチック資源循環促進法の狙い(第1回)
プラスチック資源循環促進法の目指すところ(第2回)
プラスチック製品使用量削減の構造(第3回)
特定プラスチック使用製品提供事業者(第4回)
特定プラスチック使用製品多量提供事業者(第5回)

第6回目は、「特定プラスチック使用製品提供事業者の判断基準」についてです。

この判断基準の正式名称は、
「特定プラスチック使用製品提供事業者の特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制に関する判断の基準となるべき事項等を定める省令」
となります。

要点としては、
「プラスチック使用製品廃棄物の排出抑制に関する判断基準」であることを押さえておけばよろしいかと思います。

なお、この省令は、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の4省の共同所管となり、環境省は所管しておりません。

省令は、全部で9条あり、次のような構成となっています。

第1条 目標の設定
第2条 特定プラスチック使用製品の使用の合理化
第3条 情報の提供
第4条 体制の整備等
第5条 安全性等の配慮
第6条 特定プラスチック使用製品の使用の合理化の実施状況等の把握等
第7条 関係者との連携
第8条 加盟者における特定プラスチック使用製品の使用の合理化
第9条 約款の定め

「特定プラスチック使用製品提供事業者」の場合は、9条すべてを把握する必要がありますが、
消費者としてならば、「第2条 特定プラスチック使用製品の使用の合理化」を読んでおけば、日々の買い物への影響を予測できると思います。

(特定プラスチック使用製品の使用の合理化)

第2条 特定プラスチック使用製品提供事業者は、次に掲げる取組その他の特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組を行うことにより、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するものとする。

一 商品の販売又は役務の提供に際しては、消費者にその提供する特定プラスチック使用製品を有償で提供すること、消費者が商品を購入し又は役務の提供を受ける際にその提供する特定プラスチック使用製品を使用しないように誘引するための手段として景品等を提供すること、その提供する特定プラスチック使用製品の使用について消費者の意思を確認すること、その提供する特定プラスチック使用製品について繰返し使用を促すことその他の措置を講ずることにより、消費者によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制を促進すること。
二 薄肉化、軽量化その他の特定プラスチック使用製品の設計又はその部品若しくは原材料の種類について工夫された特定プラスチック使用製品を提供すること、適切な寸法の特定プラスチック使用製品を提供すること、繰返し使用が可能な製品を提供することその他の措置を講ずることにより、自らの特定プラスチック使用製品の過剰な使用を抑制すること。

第一号では、「消費者によるプラスチック使用製品廃棄物の排出抑制を促進」するために、
「有償で提供」「使用しないように誘引するための手段として景品等を提供」「使用について消費者の意思を確認」「繰り返し使用を促す」という4つの手段が示されています。

第二号では、「提供事業者自身のプラスチック使用製品の過剰な使用を抑制」するために、
「薄肉化、軽量化その他の特定プラスチック使用製品の設計又はその部品若しくは原材料の種類について工夫された特定プラスチック使用製品を提供」「適切な寸法の特定プラスチック使用製品を提供」「繰返し使用が可能な製品を提供」という3つの手段が例示されています。

「有償で提供」しか認められていないわけではなく、「景品の提供」や「消費者の意思確認」でも良いことになっていますが、具体的な「排出抑制」、すなわち「提供量の削減実績」として数値化するためには、「消費者の意思確認」だけでは心許ないことになります。

そのため、多くの提供事業者が、「有償で提供」を選択するであろうことは想像に難くありません。

第一号と第二号の前提条件の違いは、次のように考えるとわかりやすいと思います。

飲食店のテイクアウトの場合は、第一号の「商品の販売」に該当しますので、第二号の「軽量化した製品を提供」するよりも、第一号の「有償提供」その他のより積極的な「排出(提供)抑制」が求められます。

ただし、この場合でも、軽量化によってプラスチック使用製品の提供量自体は削減可能でしょうから、「第3条 情報の提供」で定めるインターネット等での情報公開対象としては、活用可能なデータとなりそうです。

店内で食事をしてもらう場合は、使い捨てのプラスチック製品ではなく、繰り返し使用可能な金属製品を提供する等の第二号の判断基準に沿った取組みで十分となります。

「テイクアウト品の販売」と「店内での飲食」の両方を行っている飲食店の場合は、
「テイクアウト品の販売」の際には、第一号の対応
「店内での飲食」の際には、第二号の対応
と、個別のオペーレーションごとに最適な対応を取った方が良さそうです。

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