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第21回「第21条 廃棄物処理法の特例」再資源化事業高度化法
再資源化事業高度化法
第21条(廃棄物処理法の特例) 前条第1項の認定を受けた者(第43条第1項第一号ハにおいて「認定再資源化工程高度化計画実施者」という。)は、当該認定を受けた再資源化工程高度化計画(同号ハにおいて「認定再資源化工程高度化計画」という。)に従って行う設備の導入については、廃棄物処理法第9条第1項又は第15条の2の6第1項の許可を受けたものとみなす。
法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。
独断と偏見に基づく注釈
「第20条 再資源化工程高度化計画の認定」で既に見たところですが、
再資源化工程高度化計画認定を受けた者に、廃棄物処理施設設置許可の変更許可取得を不要とする規定です。
ただし、一度認定を受ければ、何度でも任意で施設の変更をできるわけではなく、
「認定再資源化工程高度化計画」に従って行う設備の導入について
という制限があります。
つまり、変更許可を受けずに変更ができる範囲は、「環境大臣から認定を受けた高度化計画」に限定されますので、認定どおりに施設を変更した後に何らかの変更を加えたくなった場合は、
- 改めて「再資源化工程高度化計画」の認定を環境大臣から受ける
- 都道府県知事から「廃棄物処理施設設置許可の変更許可」を受ける
という対処が必要となるものと思われます。
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2024年5月21日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:再資源化事業高度化法
第20回「第20条 再資源化工程高度化計画の認定」再資源化事業高度化法
再資源化事業高度化法
第四節 再資源化工程高度化計画の認定等第20条(再資源化工程高度化計画の認定) 廃棄物処理施設の設置者であって、当該廃棄物処理施設において、再資源化の実施の工程を効率化するための設備その他の当該工程から排出される温室効果ガスの量の削減に資する設備の導入(以下「再資源化工程の高度化」という。)を行おうとするものは、環境省令で定めるところにより、再資源化工程の高度化に関する計画(以下「再資源化工程高度化計画」という。)を作成し、環境大臣の認定を申請することができる。
2 再資源化工程高度化計画においては、次に掲げる事項を記載しなければならない。
- 一 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
- 二 申請者が法人である場合においては、その役員の氏名及び政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
- 三 申請者が個人である場合において、政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
- 四 導入する設備、再資源化の実施の工程から排出される温室効果ガスの量の削減の程度を示す指標その他再資源化工程の高度化の内容
- 五 再資源化工程の高度化の対象となる廃棄物処理施設が一般廃棄物処理施設である場合にあっては廃棄物処理法第8条第2項第二号、第三号及び第六号に掲げる事項、当該廃棄物処理施設が産業廃棄物処理施設である場合にあっては廃棄物処理法第15条第2項第二号、第三号及び第六号に掲げる事項
- 六 その他環境省令で定める事項
3 環境大臣は、第1項の認定の申請があった場合において、その申請に係る再資源化工程高度化計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
- 一 再資源化工程の高度化の内容が基本方針に照らして適切なものであること。
- 二 再資源化工程の高度化の内容が、前項第四号に規定する指標からみて当該再資源化工程の高度化の後において再資源化の実施の工程から排出される温室効果ガスの量が当該再資源化工程の高度化の前におけるものと比べて特に少量であると認められることその他の環境省令で定める基準に適合するものであること。
- 三 再資源化工程の高度化の内容が、環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
- 四 再資源化工程の高度化の内容が、再資源化工程の高度化の対象となる廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。
- 五 申請者の能力が、再資源化工程高度化計画に従って再資源化工程の高度化を適確に行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
- 六 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
- イ 廃棄物処理法第14条第5項第二号イ又はロのいずれかに該当する者
- ロ この法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- ハ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人がイ又はロのいずれかに該当するもの
- ニ 法人であって、その役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者があるもの
- ホ 個人であって、政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者があるもの
- ヘ 廃棄物処理法第14条第5項第二号ヘに該当する者
4 環境大臣は、第1項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該認定に係る廃棄物処理施設の所在地を管轄する都道府県知事に通知するものとする。
5 第11条第3項の規定は再資源化工程高度化計画を作成する場合について、同条第5項から第7項までの規定は当該再資源化工程高度化計画について第1項の認定の申請があった場合について、それぞれ準用する。この場合において、同条第3項中「当該廃棄物処理施設を設置すること」とあるのは「再資源化工程高度化計画(第20条第1項に規定する再資源化工程高度化計画をいう。以下この条において同じ。)に従って行う廃棄物処理施設における設備の導入」と、同条第5項中「当該事項、申請年月日及び」とあるのは「第20条第2項第四号及び第五号に掲げる事項、申請年月日並びに」と、同条第6項及び第7項中「当該廃棄物処理施設の設置」とあるのは「再資源化工程高度化計画の対象となる廃棄物処理施設における設備の導入」と読み替えるものとする。
法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。
独断と偏見に基づく注釈
第1項
第20条は、「廃棄物処理施設設置者」が(メリット措置の)対象となります。
メリット措置の中身については、「第21条 廃棄物処理法の特例」を参照する必要があるのですが、第21条は次の記事で見ていきますので、結論だけを先に書くと、「廃棄物処理施設の変更許可が不要」となります。
施設のイメージとしては、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」では、
と、「AIを活用した高度な選別設備」が挙げられています。
廃棄物処理施設において、再資源化の実施の工程を効率化するための設備その他の当該工程から排出される温室効果ガスの量の削減に資する設備の導入
を行おうとする者で、廃棄物処理施設の変更許可を一々受けたくない場合は、「再資源化工程高度化計画」を申請し、環境大臣から認定されれば、廃棄物処理施設の変更許可を受けずに施設を設置・操業できることになります。
産業廃棄物処理施設の変更許可とは、「施設の能力増強」や「施設の稼働時間延長」、「付帯設備の変更」等々、色々な状況が考えられますが、自治体によっては、施設の新規設置と同様に、改めて「地元説明会」や「近隣関係者からの同意書取得」を求めるところがありますので、そのような廃棄物処理法では求められていないローカルルール手続きを、新法で初めて排除したとも言えます。
とは言え、「温室効果ガスの量の削減に資する設備」だけが認定の対象となりますので、このメリット措置を受けられる廃棄物処理施設設置者(大部分が処理業者かと思われます)の数はそれほど多くなさそうです。
第2項
「再資源化工程高度化計画」認定申請書の記載事項です。
第3項
「再資源化工程高度化計画」の認定基準です。
第4項
認定後に、環境大臣に「認定に係る廃棄物処理施設の所在地を管轄する都道府県知事に通知」することを義務づけています。
第5項
「第11条 高度再資源化事業計画の認定」の「生活環境影響調査結果」に関する規定を、「第20条 再資源化工程高度化計画の認定」にも準用する旨の定めです。
具体的には、「第20条 再資源化工程高度化計画の認定」においても、生活環境影響調査結果の「告示・縦覧」「告示をした旨の環境大臣から都道府県・市町村長への通知」「環境大臣への利害関係者からの意見書提出(の受付)」が必要となります。
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2024年5月20日 | コメント/トラックバック(0) |
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第19回「第19条 指導及び助言」再資源化事業高度化法
再資源化事業高度化法
第19条(指導及び助言) 環境大臣は、認定高度分離・回収事業者に対し、認定高度分離・回収事業計画に係る高度分離・回収事業の適確な実施に必要な指導及び助言を行うものとする。
法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。
独断と偏見に基づく注釈
廃棄物処分業者に対する「第9条 環境大臣の指導及び助言」、
認定高度再資源化事業者に対する「第14条 環境大臣の指導及び助言」と同様の規定で、
環境大臣に、認定高度分離・回収事業者に指導及び助言を行うことを認める条文です。
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2024年5月17日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:再資源化事業高度化法
理論武装のすゝめ
許可業者たる者、自社の存立にかかわる状況下では、行政と対等に渡り合えるように、行政手続法の基礎知識を身に着けることが不可欠、と痛感させられた報道がありました。
2024年5月13日付 RKB毎日放送 「突然違う業者がし尿収集 戸惑う住民に業者も「『許可を取り消すぞ』と言われるのが怖い」 一部事務組合の不透明な決定」
報道の前段は、
「複数の市町が参加した一部事務組合が、急に各業者のし尿回収エリアを変更し、何も知らされていなかった住民側に混乱と困惑が生じている」というものです。
回収エリア変更の是非については、背景事情がまったくわかっておりませんのでこれ以上言及しませんが、非常に気になったコメントが2つあります。
まず1つ目が
(組合長=町長のコメント)住民の戸惑いについて「それのないように業者には徹底しています。許可をやっていますから、責任を持ってやりなさい」と伝えたとして、業者任せにしていると説明しました。
実際には、一部事務組合から業者に対し、文書等でもっとソフトな指示をしていた可能性もありますが、今のご時世で、「許可をやっている」という居丈高な物言いはいただけません。
「許可」とは「行政が恣意的に与える恩恵」ではなく、「申請に基づき一般的禁止を解除する行為」に過ぎないからです。
「どの言葉を選択するか」に、その人の価値観や信条を見て取ることができますが、令和の現代日本で、「許可を出してやっている」という公的な発言はなかなか聞けるものではありません。
2つ目が、本日の主題でもありますが、
業者は組合長から許可を受ける立場で「意見すらできない」と証言しています。
し尿収集運搬業者関係者「言うこと聞かないと『もう許可を取り消すぞ』と言われるのがもう、やはり怖いですよね。許可取り消しになると仕事ができなくなるので。ちょっと反発すると『許可取り消すぞ、許可欲しくないか』とかそういう感じですね」
「行政手続法」という国会で制定された正式な法律を超越したオカルトチックな論理が展開されています。
まず、業者としての実感であり、口頭コメントという性質上正確性に欠けることは致し方ありませんが、
「組合長個人が中世教皇のように個人として許可を出している」わけではなく、許可主体はあくまでも「一部事務組合」です。
個人を必要以上に恐れ、敬遠すると、ハリーポッターシリーズの「名前を呼んではいけないあの人」のように、その個人を実体以上の巨大な偶像へと肥大化させ、「対等に渡り合おう」という気概を持つことを自ら放棄することにつながりますので、現代の日本国民及び事業者としては、やらない方が良い行動と思います。
また、「交渉相手の力量や限界を正確に把握する」ことが、交渉に臨む前の基本となりますので、少なくとも、交渉相手の「業務内容」「職責」「限界」については、イメージではなく、成文化された根拠を確認しておきたいところです。
今回のケースで言うと、事業者が把握すべき情報は、一部事務組合の「成立根拠」と「所掌事務」、そして「廃棄物処理法の関連規定(第7条その他)」となります。
さて、ここからようやく本日の本題に入りますが、
「言うこと」、すなわち「何らかの行政指導や要請」に従わないという理由で、一般廃棄物収集運搬業の許可を取消すことができるのかという話になります。
多くの方がご存知のとおり
行政手続法第32条(行政指導の一般原則) 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
とされておりますので、行政指導に従わないという理由で許可取消をすると、行政庁の違法行為となります。
ただし、先の報道で登場した「言うこと」が、単なる行政指導ではなく、「一般廃棄物収集運搬の委託契約に基づく債務履行を求めるもの」、あるいは「業者の違法状態の是正を求めるもの」であった場合は、業者側に「契約違反」や「法律違反」が発生する可能性がありますので、その場合は「契約解除」や「許可取消」につながる場合もあります。
ゆえに「(組合側の)言うこと」が何だったのかが重要なポイントになりますが、業者に法律違反があれば即時に許可を取消せるわけではなく、廃棄物処理法では許可の取消要件が厳格に定められています。
廃棄物処理法第7条の4(許可の取消し) 市町村長は、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。
- 一 第七条第五項第四号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条まで若しくは第三十二条第一項(第二十五条から第二十七条までの規定に係る部分に限る。)の規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに該当するに至つたとき。
- 二 第七条第五項第四号リからルまで(同号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条までの規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)のいずれかに該当するに至つたとき。
- 三 第七条第五項第四号リからルまで(同号ホに係るものに限る。)のいずれかに該当するに至つたとき。
- 四 第七条第五項第四号イからトまで又はリからルまでのいずれかに該当するに至つたとき(前三号に該当する場合を除く。)。
- 五 前条第一号に該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による処分に違反したとき。
- 六 不正の手段により第七条第一項若しくは第六項の許可(同条第二項又は第七項の許可の更新を含む。)又は第七条の二第一項の変更の許可を受けたとき。
2 市町村長は、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が前条第二号又は第三号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。
要約すると、市町村長が一般廃棄物処理業の許可を取消さねければならないケースは、
事業者が
・欠格要件に該当した場合
・重大な廃棄物処理法違反をして、情状が特に重い場合
・事業停止命令に違反した場合
・不正の手段を用いて処理業許可を受けた場合
となります。
あとは、「必ず取消し」ではなく、「許可を取消すことができる」ケースとしては、
事業者が
・事業の用に供する施設または事業者の能力が許可基準に適合しなくなった場合
・許可条件に違反した場合
と、2つの要件が限定列挙されているのみです。
いずれの場合でも、「行政指導に従わない事業者の許可は取消し可能」とは書かれていませんし、そう読むこともできませんので、「組合長」や「一部事務組合」を「名前を呼んではいけないあの人」レベルで恐れる必要はまったくありません。
行政側に住民の希望や効率的な行政運営のアドバイスができる当事者は、実際にし尿や廃棄物の回収に携わり、地域の実情にもよく精通している各地の一般廃棄物処理業者しか無いと思いますので、これまで培ってきた信用や実績に自信を持ち、行政と対等な意識で渡り合っていただくことを期待しております。
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2024年5月16日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:news
第18回「第18条 廃棄物処理法の特例」再資源化事業高度化法
再資源化事業高度化法
第18条(廃棄物処理法の特例) 認定高度分離・回収事業者は、廃棄物処理法第7条第6項又は第14条第6項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定高度分離・回収事業計画に従って行う再資源化に必要な行為(一般廃棄物又は産業廃棄物の処分に該当するものに限る。)を業として実施することができる。
2 認定高度分離・回収事業者(産業廃棄物の処分を業として行う者に限る。)は、政令で定める基準に従い、当該処分を行わなければならない。この場合において、廃棄物処理法第16条の2第一号及び第19条の5第1項の規定の適用については、同号中「産業廃棄物処理基準又は」とあるのは「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律第18条第2項の政令で定める基準又は」と、同項中「産業廃棄物処理基準又は産業廃棄物保管基準」とあるのは「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律第18条第2項の政令で定める基準又は産業廃棄物保管基準」とする。
3 認定高度分離・回収事業者は、廃棄物処理法第6条の2第6項、第7条第13項から第16項まで及び第7条の5の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)又は廃棄物処理法第12条第5項、第12条の4第1項、第14条第13項から第17項まで及び第14条の3の3の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、一般廃棄物処分業者又は産業廃棄物処分業者とみなす。
4 認定高度分離・回収事業者は、廃棄物処理法第19条の3の規定(同条の規定に係る罰則を含む。)の適用については、一般廃棄物処分業者又は産業廃棄物処分業者とみなす。この場合において、同条第二号中「産業廃棄物処理基準又は産業廃棄物保管基準」とあるのは、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律第18条第2項の政令で定める基準又は産業廃棄物保管基準」とする。
5 第16条第2項第七号に掲げる事項が記載された高度分離・回収事業計画について同条第1項の認定を受けた認定高度分離・回収事業者は、廃棄物処理法第8条第1項又は第15条第1項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定高度分離・回収事業計画に記載された当該廃棄物処理施設を設置することができる。
6 前項の場合において、認定高度分離・回収事業者は、廃棄物処理法第8条の3、第8条の4及び第9条の2の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)又は廃棄物処理法第15条の2の3、第15条の2の4及び第15条の2の7の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、一般廃棄物処理施設の設置者又は産業廃棄物処理施設の設置者とみなす。
法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。
独断と偏見に基づく注釈
第1項
認定を受けた高度分離・回収事業者に、認定高度再資源化事業計画に従って再資源化に必要な行為を、一般廃棄物処分業または産業廃棄物処分業の許可を受けずに行うことを認める規定です。
第2項
産業廃棄物処分に関して認定を受けた高度分離・回収事業者が遵守すべき処理基準の根拠規定です。
詳細は、今後制定される政令で具体的に規定されます。
第3項
認定高度分離・回収事業者を廃棄物処理業者とみなすケースを列挙しています。
具体的には、下記のケースとなります。
- 排出事業者から一般廃棄物処理委託先となる場合
- 一般廃棄物処理基準の遵守
- 一般廃棄物処分の再委託の禁止
- 帳簿の作成と保存
- 名義貸しの禁止
- 排出事業者から産業廃棄物処理委託先となる場合
- 虚偽記載をした産業廃棄物管理票交付の禁止
- 産業廃棄物の処理困難通知を出す場合
- 産業廃棄物の処理困難通知の保存義務
- 廃棄物処理法で定められた方法以外での産業廃棄物処分の再委託禁止
- 産業廃棄物処理業者以外の産業廃棄物処理の受託禁止
第4項
認定高度分離・回収事業者は、廃棄物処理法第19条の3「改善命令」の適用については、廃棄物処分業者とみなされます。
第5項
認定高度分離・回収事業者に対し、廃棄物処理施設の設置許可を受けずに、事業計画に記載された廃棄物処理施設を設置することを認める規定です。
この規定は、従来のリサイクル法では取られたことがなかった、事業者にとっては非常に大きなメリット措置です。
第6項
認定高度分離・回収事業者は、下記の廃棄物処理法の規制については、廃棄物処理施設設置者とみなされ、適用対象となります。
- 廃棄物処理施設の維持管理基準
- 廃棄物処理施設の維持管理記録の備え置きと閲覧
- 廃棄物処理施設に対する改善命令
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2024年5月15日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:再資源化事業高度化法
第17回「第17条 高度分離・回収事業計画の変更等」再資源化事業高度化法
再資源化事業高度化法
第17条(高度分離・回収事業計画の変更等) 前条第1項の認定を受けた者(以下「認定高度分離・回収事業者」という。)は、同条第2項第四号から第七号までに掲げる事項を変更しようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣の認定を受けなければならない。
2 認定高度分離・回収事業者は、前条第2項第一号から第三号まで又は第八号に掲げる事項を変更したときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。
3 環境大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、前条第1項の認定に係る高度分離・回収事業計画(第1項の規定による変更又は前項の規定による届出に係る変更があったときは、その変更後のもの。以下「認定高度分離・回収事業計画」という。)の変更を指示し、又は同条第1項の認定を取り消すことができる。
- 一 認定高度分離・回収事業者が、正当な理由なく認定高度分離・回収事業計画に従って高度分離・回収 事業を実施していないとき。
- 二 認定高度分離・回収事業者の能力又は認定高度分離・回収事業計画に記載された前条第2項第六号に規定する施設が、同条第3項第三号の環境省令で定める基準に適合しなくなったとき。
- 三 認定高度分離・回収事業計画に前条第2項第七号に掲げる事項が記載されている場合には、当該廃棄 物処理施設の構造又はその維持管理が同条第3項第四号イの環境省令で定める技術上の基準又は当該認定高度分離・回収事業計画に記載された同条第2項第七号ニ若しくはホに掲げる計画に適合していないと認めるとき。
- 四 前号に規定する場合において、認定高度分離・回収事業者の能力が前条第3項第四号ハの環境省令で 定める基準に適合していないと認めるとき。
- 五 認定高度分離・回収事業者が前条第3項第六号イからトまでのいずれかに該当するに至ったとき。
4 第11条第3項の規定は高度分離・回収事業計画に係る前条第2項第七号に掲げる事項の変更をする場合について、第11条第5項から第7項までの規定は当該事項の変更に係る第1項の認定の申請があった場合について、前条第3項及び第4項の規定は第1項の認定について、それぞれ準用する。この場合において、第11条第3項中「当該廃棄物処理施設を設置すること」とあり、同条第5項中「当該事項」とあり、並びに同条第6項及び第7項中「当該廃棄物処理施設の設置」とあるのは「第16条第2項第七号に掲げる事項の変更の内容」と、同項中「同項」とあるのは「第5項」と読み替えるものとする。
法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。
独断と偏見に基づく注釈
第1項
高度分離・回収事業計画認定事業者が下記の事項(再資源化事業高度化法第16条第2項第四号から第七号まで)を変更する場合は、環境大臣に改めて認定を受ける必要があります。
・改めて認定を受ける必要がある変更内容
- 再資源化の実施方法、再資源化の生産性の向上の程度を示す指標その他高度分離・回収事業の内容
- 高度分離・回収事業を実施する区域
- 廃棄物の処分の用に供する施設の所在地、構造及び設備
- 廃棄物の処分の用に供する廃棄物処理施設を設置しようとする場合には、当該廃棄物処理施設に関する次に掲げる事項
イ 廃棄物処理施設の設置の場所
ロ 廃棄物処理施設の種類
ハ 廃棄物処理施設の処理能力
ニ 廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画
ホ 廃棄物処理施設の維持管理に関する計画
第2項
高度分離・回収事業計画認定事業者が下記に該当する内容を変更した場合は、変更後に遅滞なく環境大臣に変更届を提出しなければならない、と定められています。
変更届の対象となる変更内容は、再資源化事業高度化法第16条第2項第一号から第三号まで又は第八号に掲げる事項で、
- 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
- 申請者が法人である場合においては、その役員の氏名及び政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
- 申請者が個人である場合において、政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
- その他環境省令で定める事項
となります。
第3項
環境大臣が、事業計画の変更を指示、または認定を取り消すことができるケースを列挙しています。
- 認定高度分離・回収事業者が、正当な理由なく認定高度分離・回収事業計画に従って高度分離・回収 事業を実施していないとき。
- 認定高度分離・回収事業者の能力又は認定高度分離・回収事業計画に記載された施設が、環境省令で定める基準に適合しなくなったとき。
- 認定高度分離・回収事業計画に廃棄物処理施設に関する事項が記載されている場合には、当該廃棄物処理施設の構造又はその維持管理が環境省令で定める技術上の基準又は当該認定高度分離・回収事業計画に適合していないと認めるとき。
- 上記の場合において、認定高度分離・回収事業者の能力が環境省令で 定める基準に適合していないと認めるとき。
- 認定高度分離・回収事業者が欠格要件に該当するに至ったとき。
第12条と同様に気になった点は、「欠格要件に該当した場合」の取扱いです。
再資源化事業高度化法案第17条でも、「認定を取り消すことができる」という、環境大臣に取消すかどうかの裁量を認める規定となっています。
その一方で、
廃棄物処理法第14条の3の2
都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。
と、産業廃棄物処理業者の場合は、欠格要件に該当した場合は「必ず取消さなければならない」と、都道府県知事に取消すかどうかの裁量を認めない絶対的な規定となっていますので、同一の事業を行っているにもかかわらず、許認可権者が異なるという理由だけで、一方は確実に死刑宣告、一方は変更すれば免罪も有り得るという状況は、著しく不公平であると言わざるを得ません。
※一般廃棄物処理業者が欠格要件に該当した場合も、上記と同様に「必ず許可を取消さなければならない」とされています。
第4項
事業計画に添付した「生活環境影響調査結果」の「廃棄物処理施設の設置場所」その他を変更する場合の読み替え規定です。
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2024年5月14日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:再資源化事業高度化法
第16回「第16条 高度分離・回収事業計画の認定」再資源化事業高度化法
再資源化事業高度化法
第三節 高度分離・回収事業計画の認定等第16条(高度分離・回収事業計画の認定) 廃棄物(その再資源化の生産性の向上により資源循環が促進されるものとして環境省令で定めるものに限る。)から高度な技術を用いた有用なものの分離及び再生部品又は再生資源の回収を行う再資源化のための廃棄物の処分の事業(以下「高度分離・回収事業」という。)を行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、高度分離・回収事業の実施に関する計画(以下「高度分離・回収事業計画」という。)を作成し、環境大臣の認定を申請することができる。
2 高度分離・回収事業計画においては、次に掲げる事項を記載しなければならない。
- 一 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
- 二 申請者が法人である場合においては、その役員の氏名及び政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
- 三 申請者が個人である場合において、政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
- 四 再資源化の実施方法、再資源化の生産性の向上の程度を示す指標その他高度分離・回収事業の内容
- 五 高度分離・回収事業を実施する区域
- 六 廃棄物の処分の用に供する施設の所在地、構造及び設備
- 七 廃棄物の処分の用に供する廃棄物処理施設を設置しようとする場合には、当該廃棄物処理施設に関する次に掲げる事項
- イ 廃棄物処理施設の設置の場所
- ロ 廃棄物処理施設の種類
- ハ 廃棄物処理施設の処理能力
- ニ 廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画
- ホ 廃棄物処理施設の維持管理に関する計画
- 八 その他環境省令で定める事項
3 環境大臣は、第1項の認定の申請があった場合において、その申請に係る高度分離・回収事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
- 一 高度分離・回収事業の内容が基本方針に照らして適切なものであること。
- 二 高度分離・回収事業の内容が、前項第四号に規定する指標からみて当該高度分離・回収事業により処分を行う廃棄物の数量に占める当該高度分離・回収事業により回収を行う再生部品又は再生資源の量の割合が通常の再資源化の実施方法によるものに比して特に高いと認められることその他の環境省令で定める基準に適合するものであること。
- 三 申請者の能力及び前項第六号に規定する施設が、高度分離・回収事業を適確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合すること。
- 四 高度分離・回収事業計画に前項第七号に掲げる事項が記載されている場合には、次のイからハまでのいずれにも適合するものであること。
- イ 前項第七号ニに掲げる計画が環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
- ロ 前項第七号ニ及びホに掲げる計画が当該廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境 省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。
- ハ 申請者の能力が、前項第七号ニ及びホに掲げる計画に従って当該廃棄物処理施設の設置及び維持管理を適確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
- 五 高度分離・回収事業の対象となる廃棄物が市町村から処分を委託された一般廃棄物である場合においては、当該高度分離・回収事業計画に従って実施する当該廃棄物の処分の実施が、当該市町村の一般廃棄物処理計画(廃棄物処理法第6条第1項に規定する一般廃棄物処理計画をいう。)に適合しているものであること。
- 六 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
- イ 廃棄物処理法第14条第5項第二号イ又はロのいずれかに該当する者
- ロ この法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- ハ 次条第3項の規定により認定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(当該認定を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があった日前60日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から5年を経過しないものを含む。)
- ニ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人がイからハまでのいずれかに該当するもの
- ホ 法人であって、その役員又は政令で定める使用人のうちにイからハまでのいずれかに該当する者があるもの
- ヘ 個人であって、政令で定める使用人のうちにイからハまでのいずれかに該当する者があるもの
- ト 廃棄物処理法第14条第5項第二号ヘに該当する者
4 環境大臣は、第1項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該認定に係る第2項第五号に掲げる区域を管轄する都道府県知事及び市町村長に通知しなければならない。
5 第11条第3項の規定は高度分離・回収事業計画に第2項第七号に掲げる事項を記載する場合について、同条第5項から第7項までの規定は当該事項が記載された高度分離・回収事業計画について第1項の 認定の申請があった場合について、それぞれ準用する。この場合において、同条第6項及び第7項中「当該廃棄物処理施設」とあるのは「第16条第2項第七号に規定する廃棄物処理施設」と、同項中「同項」とあるのは「第5項」と読み替えるものとする。
法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。
独断と偏見に基づく注釈
第1項
「需要に応じた資源循環のために実施する再資源化のための廃棄物の収集、運搬及び処分の事業を行おうとする者」への認定である、「第11条 高度再資源化事業計画の認定」とは別の
「廃棄物(その再資源化の生産性の向上により資源循環が促進されるものとして環境省令で定めるものに限る。)から高度な技術を用いた有用なものの分離及び再生部品又は再生資源の回収を行う再資源化のための廃棄物の処分の事業(高度分離・回収事業)を行おうとする者」への認定手続きを定めた条文となります。
個人的には、「高度な技術」と定義が抽象的すぎるところに不安を感じました。
事業イメージとしては、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」では、
「太陽光発電パネル」と「紙おむつ」のリサイクル施設が例示されています。
いずれも、今後、喫緊の社会的課題になること間違いなしの廃棄物ですので、再資源化事業高度化法の制定で、この問題を一挙に解決することを目指している様子がうかがえます。
第2項
「高度分離・回収事業計画」の記載事項です。
「高度再資源化事業計画」とは異なり、「廃棄物の収集運搬」に関する記載はありません。
「収集運搬に関する記載が無い」ということは、「収集運搬に関しては認可対象ではない」ということであり、「収集運搬については、業許可の取得不要とならない」となります。
詳細は「第18条 廃棄物処理法の特例」で見ていくことになりますが、「第16条 高度分離・回収事業計画の認定」は、認定事業者に「廃棄物処分業許可」と「廃棄物処理施設設置許可」の2つの許可取得を免除するものとなります。
収集運搬業許可の免除も受けたい場合は、「高度再資源化事業計画認定を受ける」しかありませんが、現段階では、「高度再資源化事業計画認定」と「高度分離・回収事業計画認定」のメリットとデメリットの差がよくわかりません。
別々の制度として作られる以上、何らかの違いはあるはずですので、制度設計に関する続報を待ちたいと思います。
第3項
「高度分離・回収事業計画」の認定基準を定めています。
第4項
認定後に、環境大臣に「高度分離・回収事業を実施する区域を管轄する都道府県知事及び市町村長に通知」することを義務付ける規定です。
第5項
「第11条 高度再資源化事業計画の認定」の「生活環境影響調査結果」に関する規定を、「第16条 高度分離・回収事業計画の認定」にも準用する旨の定めです。
具体的には、「第16条 高度分離・回収事業計画の認定」においても、生活環境影響調査結果の「告示・縦覧」「告示をした旨の環境大臣から都道府県・市町村長への通知」「環境大臣への利害関係者からの意見書提出(の受付)」が必要となります。
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2024年5月13日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:再資源化事業高度化法
何度も繰り返し言いますが、不適正処理は儲かりません!
典型的な不法投棄事件に関するニュースですが、多方面にツッコミどころのある報道ですので、適宜報道内容を引用しつつ、問題点を指摘していきます。
なお、容疑者の氏名についてはこちらで紹介する意義がありませんので、すべて引用から外しております。
2024年5月8日付 読売テレビ 「「金になると思い」無許可で産廃処分容疑で男逮捕 背景に業界の構造も「不適正処理した方が儲かる」」
産業廃棄物の処分などを無許可で請け負い、大阪府泉南市に捨てていたとして解体業の男が逮捕されました。一般の人が使う道路をふさぐなどの被害も出ている産業廃棄物の不法投棄。どうしてなくならないのでしょうか。
(中略)
警察によりますと、容疑者は昨年10月ごろ、大阪府内の住宅工事で出た瓦などの産業廃棄物の処分や運搬を府の許可を得ずにリフォーム業者から請け負っていた疑いが持たれています。
産業廃棄物は、泉南市内にある容疑者の会社の敷地内に野積みされていて、一昨年には、隣接する他人の敷地に大量の産業廃棄物がこぼれ出ていたこともありました。
読売テレビの報道映像を見ると、それほど広くはない敷地いっぱいに、粉々のスレート板やフレコンパックが所狭しと敷き詰められています。
自社の土地とは言え、処分するつもりがない産業廃棄物を大量に放置し続けると「不法投棄」になりますが、産業廃棄物処理業の許可無しで他者が発生させた建設廃棄物の引受けもしていたのであれば、その引受けは「無許可営業」となります。
さて、テレビ局が容疑者に直接取材をしたところ、容疑者は次のように正当性を主張したそうです。
僕はれっきとした建設業なので、これをやっつけちゃえば、とやかく言われることも無いので。(Q、全く問題ないか?)そうですね」
自社が発生させた産業廃棄物”だけを”保管していた場合なら、この主張も成り立ちます。
しかし、上述したように、「無許可営業」かつ「保管ではなく放置」していた場合は、「(行政及び警察から)とやかく言われる」ことになります。
少し気になった点は、「建設業者なら建設廃棄物を自社敷地内に放置しても許される」と、頭の片隅で考えた人がいたという事実です。
容疑者が本当にそう思っていたのか、それともただの方便なのかはわかりませんが、解体業者の中には、いまだにこのように捉えている人が居る可能性を示唆しているように思えます。
もちろん、大部分の解体業者が適切な施工管理と廃棄物処分を実行しているものと信じておりますが、残念ながら、少なくない数の不心得者が存在することもまた事実かと思います。
個人的にもっとも違和感を感じた部分は、
「排出事業者が不当に廉価(安い価格)で処理を委託している場合は、その不法投棄がなされた時の浄化責任、措置責任というものを排出事業者に負わせるという廃棄物処理法の改正も行われているんですね。ただ、実際にまだ全然適用されていないんですよね。そもそも廃棄物って不適正処理したほうが儲かるという、そこの性質を変えていかざるを得ない」
という上智大学の織教授のコメント部分
このコメントは「廃棄物処理法第19条の6の措置命令」に関する内容ですので、おそらくはテレビ局が織教授のコメントの後半部分だけを切り取ったものではないかと邪推しています。
と言いますのも、不適正処理対策でより実務的に重要な条文は「廃棄物処理法第19条の5の措置命令」ですので、テレビ局が削除した(と私が邪推する)織教授の前半部分では、条文の順序から言っても先に「第19条の5の措置命令」に言及されていたのではないかと考えられるからです。
中央環境審議会委員である有識者が「実際にまだ全然適用されていない」という不条理なまとめ方をするとは、どうしても思えないのです。
第19条の6の措置命令は、全国的には発出件数がいまだに0件ですが、
第19条の5の措置命令は、この20年間でもかなりの数が発出され、排出事業者への責任追及が行われています。
また、
廃棄物って不適正処理したほうが儲かる
という部分については、コメントの一部分だけを切り取っての反応とはなりますが、断固として「否」と言わせていただきます。
ここだけを読むと、「不法投棄ってそんなに儲かるのか!?ウホッ!」と考える人が現れないとも限りません。
しかし、実態としては、
警察の調べに対し、容疑者は「やってはいけないこととはわかっていました。金になると思い、一般的な価格より安く処理を引き受けた」などと一転して容疑を認めているということで、警察は詳しい経緯を調べる方針です。
容疑者自身が「一般的な価格より安く処理を引き受けた」と認めているとおり、無許可業者は正規業者よりも安い金額でしか引受けられません。
当たり前の話ですが、ぼったくりバーならいざ知らず、モグリ業者が正規業者よりも高い価格設定ができるわけがありません。
また、そうして安く引き受けた産業廃棄物は、時間と共に消滅することは有り得ませんので、産業廃棄物の存在を隠す、あるいは消すためには、「壁などで囲って他人の目を遮断する」「土中に埋める」「どこかの土地に捨てる」の3択しかありません。
どの方法も少量のゲリラ的な手法であれば、発覚する確率は減りますが、回を重ねるごとに、そして廃棄物の量が増えるごとに、発覚する確率は上がっていきます。
そして、隠すにせよ、外部に運ぶにせよ、いくばくかの手間とコスト、そして時間が必要となりますので、それらのコストを賄うために産業廃棄物の引受けを増やすという悪循環に陥り、警察に逮捕されるまで不適正処理が止められないという、行為者自身を含めた全方向に害悪となる「不適正処理依存症」のような状況が続くことになります。
このように、不適正処理は一度手を染めたら止められなくなる犯罪でもありますので、犯罪者のたどる末路はどれも「儲け」とはほど遠いものになります。
不適正処理は儲からないので、ダメ 絶対!!
余談 排出事業者への責任追及はある?
「これだけ細切れに産業廃棄物がばらけていれば、その排出事業者をたどる術は無いので、排出事業者に責任追及がかかることも無さそうだ」と考えた方はいなかったでしょうか?
報道映像には含まれていませんでしたが、容疑者の逮捕以前に、警察が事務所の家宅捜索を行い、多数の帳票や書類、携帯電話の通話記録等、犯罪事実を示す可能性がある証拠を押収しているはずですので、非常に高い確率で、それらの証拠から依頼者と思しき排出事業者の情報が割り出されます。
もう既に、警察と大阪府庁(産業廃棄物部局)が、割り出された排出事業者に対し、報告徴収(廃棄物処理法第18条)や撤去要請等を行っているかもしれません。
容疑者への委託事実があるにもかかわらず撤去要請に応じない排出事業者は、「無許可業者への委託」という委託基準違反をしていることになりますので、廃棄物処理法第19条の5の措置命令の対象から逃れることはできません。
ちなみに、「無許可業者への委託」は、廃棄物処理法第25条の「5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、または併科」という刑事罰の対象にもなります。
仮に、容疑者が許可業者で、なおかつ排出事業者が委託基準に違背することなく適切に委託をしていた場合は、排出事業者は第19条の5の措置命令の対象にならないところでした(第19条の6の措置命令は別)。
しかし、相手が無許可業者である以上、委託契約書や産業廃棄物管理票をそもそも取り交わせる相手ではないので、処理委託をした時点で排出事業者に委託基準違反が成立しており、「不法投棄容疑で摘発」が「排出事業者への措置命令(第19条の5)の対象へ」と直結し、一瞬にして、排出事業者は言い逃れができない状況へと追い込まれることとなります。
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2024年5月10日 | コメント/トラックバック(0) |
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分ければ資源、分ければ・・・
「再資源化事業高度化法の逐条解説」シリーズが続いておりますので、たまには違うテーマを取り上げようと思います。
2024年4月22日付神戸新聞 「小型家電の回収目標見直し 環境省検討、再利用増加で」
スマートフォンやデジタルカメラといった小型家電のリサイクル制度で、回収量の目標割れが続き、環境省が設定取りやめを検討する。貴金属やレアメタル(希少金属)を取り出して有効活用を目指したが、中古品を廃棄せずフリマアプリなどに出品、再利用するケースが増えてきたためだ。今後、有識者らで新たな指標づくりを議論する。
2013年4月に鳴り物入りで始まった「小型家電リサイクル法」
2023年11月7日現在の認定事業者数は66件と、リサイクラーの数としては、全国的に充実してきた感があります。
認定事業者および連絡先一覧
ただし、
認定番号第9号、第16号、第17号、第28号、第31号、第33号及び第40号は事業廃止に伴う欠番
とあるように、わずか10年で7社が撤退している事実からは、採算性を維持することが難しい様子がうかがえます。
再び神戸新聞の記事に戻りますが
環境省は2023年度までに年14万トン回収するとした数値目標を掲げてきた。しかし、実際の回収量は20年度の約10万2千トンをピークに2年連続で減少。22年度は約8万9千トンだった。
リサイクルを促す制度は13年度に開始。当初は、小型家電の廃棄量を年間約65万トンと見込み、うち約2割を回収すると想定して14万トンに設定した。15年度を目指していたが、回収量が伸びず2度先送りしてきた。
環境省は年間14万トンという数値目標自体を取り下げる方針のようです。
達成不可能な数値目標に固執することを止めること自体には賛成です。
しかし、小型家電の回収量が伸びない理由は、はたして本当に
中古品を廃棄せずフリマアプリなどに出品、再利用するケースが増えてきたため
なのでしょうか?
私は、それは原因の一つに過ぎず、もっと根本的な問題に焦点を当てる必要があると思っています。
その根本的な問題とは、先に紹介した「10年間で7社の認定事業者が事業廃止」という厳しい現実です。
もちろん、各社それぞれに個別の問題があったとは思いますが、「小型家電リサイクルの収益性の低さ」が解決されない限り、せっかく盛り上がった(?)機運が尻すぼみになる懸念があります。
現在の認定事業者は、どこも各地域での実績と信頼を積み重ねてきた企業ばかりですので、収益性の低さに耐えることが可能だっただけであり、「小型家電リサイクル事業だけで、右肩上がりの成長を続ける!」という企業はほぼ存在しないように思います。
別の言い方をすると、「パソコンやビデオカメラ等のIC基盤が大量に使用された製品以外は、処分費を徴収しないと儲けが出ない」と言えます。
認定を受けた家電量販店グループの実例としては、「パソコン、その他のIC基盤が使用された製品だけは回収費無料」で、「マッサージチェアや電子ピアノはリサイクル料金として4,400円(税込み)を徴収」と銘打っているところがあります。
※認定事業者なので合法
小型家電として、「パソコン」や「デジタルカメラ」ばかりが大量に持ち込まれるのであれば、どのリサイクラーも苦労しません。
実際には、特に市町村から一般廃棄物の処分委託を受ける立場のリサイクラーの場合には、パソコン等のお宝はほとんど入ってこず、「ドライヤー」や「マッサージチェア」といった資源としては価値の低いゴミ、もとい「小型家電リサイクル法対象品目」の方が大量に入ってきやすい構造となっています。
この場合、市町村からは「委託料」が支払われますが、「小型家電一個で4,400円」などという景気の良い金額にはもちろんなりません。
「では、入ってくる有象無象の不用物を選別して、価値の高い物だけを抜き取って集中して処理すればいい」という考えが出ますが、
まず、入ってきた物を選別する「時間」と「人件費」、そして「大量の不用物(換価価値が低い物)を保存するスペース」を考慮すると、この方法だけでは解決にならないことをおわかりいただけると思います。
現在のところ、各リサイクラーが一生懸命設備投資をし、機械による選別と分解技術を日々高めているところですが、その投資の負担に耐えられなくなった企業から撤退しているという状況になります。
「分ければ資源 混ぜればゴミ」とは誰もが知っているキャッチフレーズであり、真理でもありますが、
法律という理念の世界では、この真理が忘れ去られ、
「(事業者が)頑張ったらいけんじゃね?」
「機械選別なんて簡単じゃね?」
と、現実離れした夢想が横行する傾向にあります。
「味噌ク●一緒くたに小型家電ぜ~んぶ」ではなく、「有用金属確保という国家政策完遂のためにも、事業採算性が取りやすい機器に限定する」などの思い切った改善措置が必要になっているように思います。
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2024年5月8日 | コメント/トラックバック(0) |
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第15回「第15条 適用除外」再資源化事業高度化法
再資源化事業高度化法
第15条(適用除外) この節の規定は、特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号)第2条第4項に規定する特定家庭用機器が廃棄物となったものについては、適用しない。
法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。
独断と偏見に基づく注釈
「この節」とは、再資源化事業高度化法「第二節 高度再資源化事業計画の認定等」を指します。
よって、家電リサイクル法対象品目については、再資源化事業高度化法の再資源化事業計画の認定対象にならない
となります。
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2024年5月7日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:再資源化事業高度化法